HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 02 Jun 2011 03:10:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:内閣不信任案 新たな地平開く決断を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

内閣不信任案 新たな地平開く決断を

2011年6月2日

 菅内閣に対する不信任決議案が提出された。否決なら内閣は信任され、可決なら首相は衆院解散か総辞職を選ばねばならない。賛成するにしても反対するにしても、議員一人一人には重い決断だ。

 東日本大震災発生後、初めて行われた党首討論。自民党の谷垣禎一総裁は、菅直人首相の震災・原発事故対応の不手際を批判し、「あなたが辞めれば、与野党を超えて新しい体制をつくる工夫はいくらでもできる」と退陣を迫った。

 確かに、菅内閣の対応は、まずさが目につく。

 「海水注入中断」をめぐる混乱に象徴される政府と東京電力との連絡、連携の悪さ。それが原発事故の深刻化につながった。

 政治主導とは聞こえがいいが、実動部隊である官僚組織を使いこなせず、被災者対策は遅れている。復興プランづくりは有識者らによる構想会議に委ねられ、いまだ明確な像を結んでいない。

 その結果、不利益をこうむるのは、住み慣れた場所を離れたり、平穏な生活に戻れない被災者だ。

 菅内閣には任せられない、できれば代わってほしいというのは、国民の率直な思いかもしれない。内閣支持率が依然20%台と低迷することが、それを雄弁に物語る。

 同時に、国民の厳しい目は野党側にも向けられている。

 参院で野党が協力しなければ法律は成立しない「ねじれ」状況では、国会運営の責任の一端を野党も担っているはずだ。

 しかし、野党側はその責任をどこまで果たしたのか。震災・原発事故対応に「協力を惜しまない」と言いながら、与党側と手を取り合って復興構想づくりをやり遂げようという意欲が見えない。

 そもそも、会期を三週間も残した段階での不信任案提出は、民主党内で菅首相に不満を持つ小沢一郎元代表に近い議員グループの造反を期待してのことだろう。

 政権にしがみつく菅首相と、引きずり降ろそうとする小沢氏ら。その対立に乗じて、民主党分裂をもくろむ自民党など野党側。結果として、最優先のはずの被災者対策すら先送りされてしまう。これが危機下の日本政治なのだろうか。荒涼たる風景に暗澹(あんたん)たる気持ちを禁じ得ない。

 否決されようが可決されようが不信任案が新たな地平を開き、政治が「国民の命と暮らしを守る」本務を果たす契機になるのならまだ救いはあるが、政治空白を広げるだけなら罪は重い。その意味をかみしめて賛否を投じるべきだ。

 

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