HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39074 Content-Type: text/html ETag: "a7809-1651-a3ef9800" Expires: Tue, 31 May 2011 01:22:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 31 May 2011 01:22:16 GMT Connection: close パキスタン 米と連携しテロ撲滅に本腰を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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パキスタン 米と連携しテロ撲滅に本腰を(5月31日付・読売社説)

 米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンを、米軍が今月初めに殺害して以降、パキスタン情勢が不安定さを増している。

 懸念されるのは、対米感情の悪化だ。パキスタン議会は、米国が事前通知なしで国内で殺害作戦を遂行したと反発し、「主権侵害」を非難する決議を採択した。

 決議は、アフガニスタンとの国境地帯で米国が対テロ掃討作戦の一環として行っている無人飛行機による攻撃について、即時中止するよう求めてもいる。

 米国とパキスタンの関係悪化は、国際テロ組織アル・カーイダやイスラム原理主義勢力タリバンへの国際包囲網に、ほころびを生みかねない。国際社会全体にとって憂慮すべき事態といえよう。

 パキスタン国内では、ビンラーディン殺害の報復と称し、政府や軍を標的とした反政府イスラム武装勢力によるテロが相次いでいる。海軍基地がテロリストに一時占拠される事件まで起きた。

 付近には、核兵器が保管されているという空軍基地もあった。核兵器保有国でのテロは、危険性がより高いと言わざるを得ない。

 テロの背景にあるのは、政府や軍の一部がテロ組織と内通しているとの見方だ。ビンラーディンが首都近郊の軍施設の近くに潜伏していたことから、パキスタン当局が黙認していたのではないか、という強い疑念が米国にはある。

 クリントン米国務長官がパキスタンを訪れ、「断固たる措置」を求めたのもこのためだ。

 パキスタン政府は、こうした疑念に答えるべきだ。

 対米関係の冷却化を受け、パキスタンは、中国への接近を強めている。ギラニ首相は今月中旬に訪中した際、パキスタンの新軍港建設を、中国に要請したという。

 だが、南アジアでは、インドとパキスタンの対立に加え、ヒンズー対イスラムの宗教対立もあり、政情は複雑だ。インドとライバル関係にある中国の登場は、事態を一層複雑にするだけだろう。

 パキスタンが安全保障を確立するには、米国と連携し、テロ対策に本腰を入れる必要がある。それが地域の安定化につながろう。

 米国は、テロとの戦いでパキスタンを重視し、巨額の軍事・民生支援を行っている。菅首相も先の日米首脳会談で、アフガンやパキスタンへの支援を継続する方針を表明した。

 パキスタンによるテロ撲滅の努力を、国際社会が支えていくことが肝要である。

2011年5月31日01時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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