HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 30 May 2011 22:07:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:金総書記訪中 また後ろ盾を頼むのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

金総書記訪中 また後ろ盾を頼むのか

2011年5月30日

 北朝鮮の金正日総書記が中国を訪問した。国際社会から制裁を受け孤立を深める北朝鮮がまた、同盟国の中国に援助を求めた。だが核放棄の道に進まない限り、他の周辺国からの支援は難しい。

 金総書記の訪中はこの一年間で三回目となる。今回は七泊八日、東北部から南部まで特別列車の走行距離は五千キロを超えた。

 脳卒中を患い、一時よりは回復したようだが、強行日程をこなしてまでも中国に頼らざるをえないのが実情だ。

 北京で開かれた首脳会談では、交流・協力の強化を確認したとだけ発表されたが、北朝鮮が食料やエネルギーの追加支援を求めたのは間違いない。

 鴨緑江にかかる橋の新設や経済特区の開発など、国境地帯での合弁事業についても意見交換が行われたとみられる。

 金総書記は訪中するたびに中国の改革・開放政策をたたえるが、国内ではまったく実を結ばない。胡錦濤主席は会談で北朝鮮に対し「民生改善が重要だ」と述べた。核やミサイルなど軍事に充てる資金や資材を削り民生に回すべきだと、遠回しに伝えたといえよう。

 北朝鮮には中国との親密さを誇示し、核放棄を迫る日米韓の圧力をかわす狙いがあった。金総書記は六カ国協議の早期再開を目指すと明言した。しかし、まず韓国との対話に臨み、昨年十一月、韓国民間人の死傷者を出した延坪島砲撃を謝罪しない限り、六カ国協議に進むのは難しい。

 今年は中朝両国が有事の軍事援助を盛り込んだ「友好協力相互援助条約」を締結してから五十周年になる。金総書記は会談でこの点を強調した。戦闘機など兵器の供給を求めた可能性もある。

 中国には慎重な対応を求める。北朝鮮の挑発を強く非難せず、軍事技術を供与するようでは、国際社会の強い反発を招くだろう。

 金総書記には三男正恩氏への後継体制の基盤を固めたい思惑もあった。中朝両首脳は「世代を超えて友好を引き継いでいく」と確認した。中国は権力世襲には不満を持ちながらも、金総書記の健康問題も考慮して、当面は後継体制を支えると意思表示したことになる。

 中朝は矛盾を抱えながらも、共存関係にある。北朝鮮がいつまでも「貧しい軍事大国」のままでは、東アジアの安定は望めない。北朝鮮が軍拡路線を修正し、経済再建に取り組むよう促すことが中国の責務だ。

 

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