HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38991 Content-Type: text/html ETag: "8b24-1718-30581980" Expires: Sat, 28 May 2011 22:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 28 May 2011 22:21:41 GMT Connection: close 金正日総書記 中国への依存の深さ見せた旅 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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金正日総書記 中国への依存の深さ見せた旅(5月29日付・読売社説)

 北朝鮮の金正日総書記が、特別列車で約5000キロ・メートルを走破する足かけ8日間の中国訪問の旅を終えた。

 この1年間で3度目となる訪中である。国際的孤立と経済困窮の中、中国に頼るしかない北朝鮮の現実を示したものだ。

 69歳の総書記がこなした長旅には、中国との緊密な関係を国内外に見せることで、体制の生き残りを図る狙いがあったと言える。

 金正日政権は、公約の「人民生活の向上」を達成できず、慢性的な食糧欠乏状態にある。体制崩壊を恐れて、中国のような経済の改革・開放政策をとろうとしないことがその要因だ。

 故金日成主席の生誕100年にあたる来年は、具体的な成果を上げる必要に迫られている。このため、今回の首脳外交は、食糧や開発投資など経済支援の取り付けに主な目的があったに違いない。

 一方、中国には、北朝鮮からの難民流入や体制崩壊による悪影響を避けるため、経済改革を促す狙いがある。これまでと同様、今回も、自動車、電子機器、太陽光発電の工場などに総書記を案内したのはその表れだ。

 実際、中国の温家宝首相は、総書記を招いた理由について、「中国の発展ぶりを理解させ、自らの発展に活用する機会を与えるためだ」と韓国側に説明している。

 胡錦濤・中国国家主席との会談では、金総書記は、焦点の6か国協議について、改めて再開に前向きの姿勢を見せたという。

 2年半近く協議が中断している間も、北朝鮮はウラン濃縮を始めるなど核開発を続けている。北朝鮮は6か国協議を国際社会との関係改善の場と受け止め、核開発を止めることから始めるべきだ。

 国連安全保障理事会は、核実験や長距離ミサイル発射を強行した北朝鮮に経済制裁を科し、日本は加えて独自制裁を行っている。

 韓国の李明博政権は、それまでの左派政権が行っていた年間数十万トン規模のコメと肥料の支援を打ち切り、韓国海軍艇が魚雷攻撃された昨年から交易もやめた。

 北朝鮮が陥っている窮状は、自らの行動が招いた結果である。

 北朝鮮が朝鮮半島の緊張緩和に本気で取り組むつもりなら、まず韓国と協議し、核放棄の意思と行動を示さなければならない。

 不安定な権力移行期にある北朝鮮は、昨年11月の韓国・(ヨン)(ピョン)()砲撃のような武力挑発に出る恐れもある。

 日本など関係国は、北朝鮮の出方に警戒を怠るべきではない。

2011年5月29日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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