HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 29 May 2011 00:07:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:九州の炭鉱労働者の間に伝わる笑い話で、よく知られていたのは…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2011年5月29日

 九州の炭鉱労働者の間に伝わる笑い話で、よく知られていたのは、逃走や脱走を意味する「ケツワリ」をめぐる話だ。筑豊の炭鉱で働いた上野英信さんが岩波新書の「地の底の笑い話」で紹介している▼もともとは、脱走を意味する朝鮮語の「ケッチョガリ」が語源らしい。炭鉱の日常用語に朝鮮語が多いのは、明治時代から朝鮮半島から来た人たちが働いていたためだという▼命の保証のない重労働の間に、坑夫の話を聞き書きした上野さんの本に、自らの体験を基にヤマの姿を克明に描いた挿絵が使われていた。山本作兵衛さんの炭鉱画との出合いだった▼七歳から炭鉱を渡り歩き、六十三歳でツルハシを絵筆に持ち替えた山本さんの絵が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」に日本で初めて登録されることになった▼山本さんが描いてきた労働者を、上野さんはこう評する。「黒い潮をなして日本列島の地底を環流しつづけてきている。炭鉱労働者とは、そのかぎりにおいて、我国の資本主義の生み落した最大の放浪者集団であろう」▼日本のエネルギー政策を支えていたのはこんな人たちだった。時代が変わり、発電所を渡り歩く労働者は「原発ジプシー」とも呼ばれた。収束の見通しが見えない福島第一原発には、下請けや孫請けの労働者が全国から呼ばれている。彼らの命を守らなくてはならない。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo