HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 25 May 2011 22:08:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オバマ中東外交 際立つ米国のジレンマ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

オバマ中東外交 際立つ米国のジレンマ

2011年5月26日

 オバマ米大統領が、主要国(G8)首脳会議で米中東政策への支持を訴える。中東民衆革命への国際支援は不可欠だが、地域諸国への個別対応を見る限り米国のジレンマが際立っていないか。

 オバマ大統領は国務省で先週行った外交演説で、中東の民衆革命を米建国史になぞらえて支持するとともに、チュニジアとエジプトへの経済支援を打ち出した。

 核心にある中東和平交渉についても、第三次中東戦争以前の国境線を基準とするべきだ、と提案するなど、本腰を入れて取り組む構えを見せた。

 民衆革命は、約半年を経て三つの流れに分岐しつつある。チュニジアとエジプトでは、民主的な政治体制への移行期に入っている。対極にあるのがリビアだ。退陣を拒否するカダフィ大佐陣営は民衆を武力で弾圧、国際社会による武力介入に至っている。デモ隊に発砲するシリア、イエメンもこの流れにある。

 いま一つが、バーレーン、サウジアラビアの湾岸諸国だ。民主化弾圧が見られるものの基地、原油など米国の深い権益が関与することから強い批判を免れている。

 オバマ演説が多くの中東諸国を例示しながら、サウジアラビアに言及しなかったことは、さすがに国内でも指摘され、米国が抱えるジレンマを浮き彫りにした。

 オバマ大統領の狙いは、ビンラディン容疑者殺害という対テロ政策の成果を機に、欧米型復興モデルを提示して国際社会の支援を得ることだ。サミットを挟み、リビア介入を主導する英国、東欧復興のモデル国ポーランドを歴訪するひとつの意味もそこにあろう。

 しかし、欧米とは歴史を異にする中東独自の事情が十分反映されているか、必ずしも明確ではない。「自由への不安」(ハベル元チェコ大統領)を抱えつつ、東欧が復興を果たし得たのは統合欧州という帰属先があってこそだった。中東、北アフリカ地域には見据えるべき帰属先がない。

 その鍵を握る中東和平交渉でのオバマ提案も、実際にはパレスチナ側が模索している今秋の国連総会での国家承認を回避することが狙い、ともいわれる。「イスラム回帰」を掲げる政治勢力が支持を得る土壌は常にある。

 民衆自身が起こした中東の変革を、オバマ大統領自身が二年前カイロで呼び掛けた「イスラムとの対話」に結実させることができるか。新たな現実を踏まえた大きな展望が欠かせない。

 

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