HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 25 May 2011 00:10:21 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:原発事故調査 世界に事実を知らせよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

原発事故調査 世界に事実を知らせよ

2011年5月25日

 日本の信頼が問われる作業だ。福島第一原発事故の真相を究明する事故調査・検証委員会が動きだす。地震と津波がもたらした原発災害の核心はいまだ判然としない。世界に真実を知らせたい。

 根本的な疑問がいつまでたっても解消されない。史上最悪レベルの原発事故がなぜ起きたのか、東電や政府の説明があいまいで情報隠しの疑いさえある。

 1号機に加えて2、3号機のメルトダウンの可能性について、東電は二十四日に公表した報告書でようやく認めた。しかし、原子炉の冷却などの初期対応がどのような経過をたどったのか、依然として不明のままだ。

 菅直人首相は1号機への海水注入の一時中断について、国会でのやりとりで関与を否定した。だが、海水注入で核分裂が連鎖する再臨界の危険性を検討するよう指示したことは認め、東電の判断を左右した疑いが残された。

 第三者機関の検証委にとって、国民の前に事実を掘り下げる努力が第一だ。委員長に就く畑村洋太郎東大名誉教授は、JR福知山線脱線事故や東京の六本木ヒルズ回転扉事故を手掛けた。その手腕を振るうときだ。

 無論、検証委の中立性は不可侵であるべきだ。メンバーからは原子力行政に深くかかわってきたいわゆる“原子力村”の住人はすべて除外すべきだ。国民の疑念を拭うための最低条件だろう。

 事務局は内閣官房に置かれるが、政治家や官僚、電力業界といった関係者がメンバーに安易に接触しては臆測を呼ぶ。中立性を担保する法的仕組みを検討してはどうだろう。

 未曽有の事故だ。真相解明には発生前後の当事者を徹底的に調べる必要がある。東電はもとより菅内閣、原子力委員会や原子力安全委員会、経済産業省や原子力安全・保安院、さらに原発立地の自治体も対象に含めるべきだ。

 権力者も調査できる強い権限を検証委に与えるのは当然だ。ただ、それには責任が伴う。検証作業を透明にして応えなくてはならない。年内に中間報告をまとめる方針だが、遅すぎる。節目ごとの情報公開が欠かせない。

 有力な原子炉安定化策などがあれば、前倒しで提言すべきだ。世界の最先端に立つ専門家たちの力も借りたい。

 検証委が提言する政策は、世界の不安を払拭(ふっしょく)し、原発の安全性向上や事故防止につながるレベルでなければならない。

 

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