HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 May 2011 01:07:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:専業主婦年金 これで公平性保てるか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

専業主婦年金 これで公平性保てるか

2011年5月24日

 国民年金への切り替えをせず、保険料未納になった専業主婦の問題について厚生労働省などがまとめた救済策は釈然としない点が残る。年金制度への不信感をこれ以上、拡大しないようにすべきだ。

 専業主婦は「第三号被保険者」と呼ばれ、国民年金保険料を払わずに済むが、夫が退職などした場合には「第一号被保険者」になり、保険料を払う必要がある。

 この切り替えを届けずに保険料未納の現役世代の主婦は四十二万人、未納のまま本来よりも多い年金を受給している高齢主婦は五万人に達している。

 救済策は、未納期間に応じて将来の年金を減額する一方、未納期間を年金受給権を得るのに必要な期間(二十五年)には算入する。将来の年金額を増やせるように過去十年分の追納を認めるとともに、時効前の過去五年間の過払い分は返還を求める。

 主婦が無年金になるのを回避するなど救済を図る一方、できるだけ公平に制度を運営しようと努力したことは理解できる。

 未納問題の背景には「届けがない限り何もしない」申請主義がある。厚労省が「三号」から「一号」への種別変更を行わない場合の不利益を国民に十分に伝えなかった点は反省しなければならない。

 とはいえ、種別変更が必要になった主婦の95%はきちんと届けを済ましている。届け漏れの責任がある程度本人にあることも否定できない。保険料納付を逃れるためにあえて届けをしなかった悪質なケースもある。真面目に保険料を払ってきた主婦にすれば、過払い分の返還が五年に限定されている点などは納得しがたいだろう。

 ところが民主党は厚労省の救済策を大幅に緩め、住民税非課税の高齢者の過払いは減額対象から除くことや、減額を基礎年金の一割以内にするなどの独自の救済案をまとめた。実行されると過払い者の九割が対象外になり、実質的にはほとんど返還を求めず、モラルハザード(倫理観の欠如)が起きかねない。これで年金制度への信頼が保たれるのか。

 この問題の発端は、直近の二年間の保険料を追納すれば、それ以前の未納分を帳消しにするという誤った政策を、政治主導を掲げた長妻昭前厚労相など政務三役が決めたことにある。前厚労相に指示されて従った職員が懲戒処分を受け、政策を決めた前厚労相や「年金記録回復委員会」が責任を負わないのは納得できない。民主党が責任を不問に付す理由を聞きたい。

 

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