HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 May 2011 00:07:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:菅内閣要職発言 「言ってない」に辟易だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

菅内閣要職発言 「言ってない」に辟易だ

2011年5月24日

 菅内閣内部で「言った」「言わない」がまた問題になっている。正直辟易(へきえき)としている。大震災・原発事故からの復旧・復興が急務の中、そんな議論に時間を割く余裕は政府、国会にはないはずだ。

 東京電力福島第一原発事故で、1号機への海水注入はなぜ一時中断されたのか。二十三日開かれた衆院東日本大震災復興特別委員会で野党側は事実関係をただした。

 菅直人首相は「私や(官邸で議論していた)メンバーが止めたことはない」と否定する一方、海水注入で核分裂が連鎖的に起きる再臨界の可能性を検討するよう指示したことは認めた。

 問題は首相指示のきっかけが、班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長の「再臨界の危険性がある」(二十一日の政府・東電統合対策室発表)との発言だったことだ。

 発表後、班目氏が「私は言っていない」と反発したため、「再臨界の可能性はゼロではない」と発言内容を訂正したが、再臨界がほぼあり得ない状況で、その可能性に言及したことに変わりはない。

 危機的な状況の中、専門家が的外れの発言をして対応を混乱させたのなら、その責任は重い。与党内から「責任者がそういうことしか首相にアドバイスできない」(亀井静香国民新党代表)体たらくを指摘する声が出るのも当然だ。

 もちろん、そのことで首相が免責されるわけではない。首相の統治能力の欠如や、政府と東電との連携の悪さが、事態を悪化させたことも確かだからだ。

 菅内閣の「言った、言わない」問題は、これだけではない。

 震災直後、笹森清内閣特別顧問は首相が「最悪の事態になったときは東日本がつぶれる」と発言したと紹介。四月中旬には松本健一内閣官房参与が、首相の言葉として「(原発周辺は)十年、二十年住めない」と述べたが、いずれも首相は否定し、収拾を図った。

 最近では、平田オリザ参与が低濃度放射能汚染水の海洋放出は「米国からの強い要請」と述べ、菅内閣は平田氏の「勘違い」(細野豪志首相補佐官)と切り捨てた。

 これらは本当に発言者の勘違いなのか。だとしたらあまりにも言葉が軽く、内閣の要職として自覚が足りない。綸言(りんげん)汗のごとしだ。

 しかし、勘違いがこれほど続くものなのか。発言内容が内閣に都合が悪いので、口封じをしたのではないか−。内閣に対する信頼性が著しく欠如している状況では、そう勘繰られても仕方がない。

 

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