HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39111 Content-Type: text/html ETag: "b7e2e-164f-68284200" Expires: Sat, 21 May 2011 21:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 21 May 2011 21:21:38 GMT Connection: close IMF専務理事 欧州の「指定席」見直すべきだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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IMF専務理事 欧州の「指定席」見直すべきだ(5月22日付・読売社説)

 前代未聞のスキャンダルで国際通貨基金(IMF)のトップの座が空席になった。後任人事を急ぎ、失墜した信認を回復しなければならない。

 ホテルで女性従業員に性的な暴行を加えたとして逮捕、起訴されたIMFのストロスカーン専務理事が辞任した。

 専務理事は容疑を否認しているが、加盟各国の経済政策などを監視するIMFを指揮する状況にないのは明らかだ。辞任はやむを得まい。

 フランス出身のストロスカーン氏は、仏財務相などを経て、2007年に専務理事に就任した。

 08年秋のリーマン・ショック後の金融危機では、日米欧など主要20か国・地域(G20)の政策協調を主導する手腕を発揮した。

 欧州の財政危機でも、欧州連合(EU)と連携して、ギリシャ、アイルランドなどの救済策をすばやくまとめた実績がある。

 金融危機前には、IMF不要論もでていたが、ストロスカーン氏の行動力は、IMFの存在感を高めたと言えよう。

 現在、世界の金融市場はひとまず安定を取り戻し、世界景気は持ち直している。だが、欧州の財政問題のほか、不安定な中東情勢や原油高騰などの懸案が山積する。東日本大震災が世界に及ぼす影響にも注意が必要だ。

 IMFが世界経済の安定に果たす役割は、依然大きい。危機の再発防止へ、金融規制改革を促すとともに、世界の不均衡是正を図る必要がある。

 こうした時期に、トップの長期不在による業務の停滞を招いてはならない。問題は、だれを後任に選任するかだ。

 第2次世界大戦後に設立されたIMFと世界銀行のトップ人事には暗黙の了解がある。IMF専務理事は歴代、欧州人が務め、世銀総裁は米国人が独占してきた。

 欧州では早くも、後任の専務理事候補として、ラガルド仏財務相らの名前が挙がっている。

 だが、世界経済の勢力図は大きく変わった。金融危機後、中国、インド、ブラジルなどの新興国が台頭し、IMFへの出資比率も増加させて発言力を強めている。

 設立から約65年が経過し、IMFトップを欧州の「指定席」にする必然性は薄れたのでないか。慣行にこだわらず、アジア、中南米などの候補も検討すべきだ。

 最終的には、IMFへの最大出資国である米国の判断がカギを握りそうだ。透明性の高い選考がIMF改革の試金石となろう。

2011年5月22日01時05分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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