HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38826 Content-Type: text/html ETag: "ba57a-15f3-653298c0" Expires: Sat, 21 May 2011 02:21:36 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 21 May 2011 02:21:36 GMT Connection: close 東電巨額赤字 国も原発賠償に連帯責任を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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東電巨額赤字 国も原発賠償に連帯責任を(5月21日付・読売社説)

 損害賠償などの費用が大きく膨らみ、経営体力がどこまで続くか、不安感は拭えない。

 東京電力が20日発表した今年3月期決算は、大事故を起こした福島第一原子力発電所の廃炉費用などの損失を計上したことで、1兆2000億円を超える赤字に転落した。

 東電は、なお十分な資金を手当てしており業務に支障はない、としている。だが、巨額の追加負担が必要なのは明らかだ。

 東電は、夏場を控えて綱渡りの電力供給を続けながら、原発事故の収束と賠償作業を同時並行して進めなければならない。

 こうした時期に東電の経営が揺らぐようなことがあれば、混乱はさらに拡大しかねない。

 政府が、原発事故の関連費用を東電だけに背負わせるのは筋違いだ。自らも連帯責任を負う姿勢を明確に示さねばならない。

 東電は決算発表にあわせ、清水正孝社長が引責辞任し、後任に西沢俊夫常務を充てる人事を発表した。経費の節減や資産売却で、1兆円以上を捻出する追加リストラ策も示した。

 あれほどの事故が起きただけに経営責任の明確化や身を削る努力をするのは当然である。だが、事故に伴う費用は膨大で、リストラだけで賄うことは不可能だ。

 運転を止めた原発の代わりに稼働させる火力発電所の燃料費は、年7000億円かかるという。

 福島第一原発1〜4号機を完全に停止して廃炉する費用を、4基で7000億円以上と見積もっているが、さらに膨らむ可能性もある。加えて、被害者への賠償は数兆円の単位になると見られる。

 政府は、東電の賠償を支援する新組織を作ることを決めたが、費用の大半は東電に長年かけて返済させる方針だ。青天井の負担を強いる仕組みには問題が多い。

 今後、法案化する段階で、内容を修正すべきだ。

 東電の社債は、発行額が約5兆円と国内企業最多だが、格付けは「投資不適格」寸前である。

 この局面で、枝野官房長官は大手銀行に対し、東電向けの融資について、一部を債権放棄するよう促した。

 銀行側は「仮に債権放棄すれば今後、東電に新規融資できなくなる」と強く反発している。

 政権首脳が不安をあおるような発言をしては、市場の信認は得られまい。認識を改めるべきだ。

2011年5月21日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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