HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 18 May 2011 22:10:58 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:デジタルカメラの普及前は、支局の記者は自分で撮った写真を暗…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2011年5月18日

 デジタルカメラの普及前は、支局の記者は自分で撮った写真を暗室で現像していた。シャッターチャンスを見事にとらえたつもりなのに、現像すると何も写っていない。そんな失敗談は数知れない▼現像が終わると、フィルムを印画紙に焼き付ける。強調したい部分を拡大するなど、構図を整える作業を「トリミング」と呼んだ。懐かしい言葉にこんな形で再会するとは思わなかった▼焼き肉店などが生肉を扱う際に、大腸菌が付着しやすい肉の表面をそぎ落とす基本作業もトリミングと呼ぶと知った。うまく処理するには、多くの肉を扱う精肉店などで半年〜一年の経験が必要になるという▼食の安全に直結する極めて重要なこの作業がなおざりにされていた。幼児ら四人が死亡し、百人以上の重軽症者を出した集団食中毒事件は、焼き肉のチェーン店も卸業者も基本作業を軽視していた▼人気のユッケは二百八十円だった。デフレ時代の消費者には、あまり違和感はないかもしれない。でも、冷静に考えれば、肉質や衛生管理面、従業員の教育など、何かを犠牲にしてコストを切り詰めないと、ここまで値段を下げることはできない▼これで利益が出るのだろうか、と驚くような安い食品もよく見掛ける。あまりに安価な食品には、何かわけがあるんじゃないかとまず疑ってみる。悲しいけれど、それでしか身は守れない。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo