HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38809 Content-Type: text/html ETag: "16087a-15f1-26a2b900" Expires: Mon, 16 May 2011 23:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 16 May 2011 23:21:05 GMT Connection: close 炉心溶融 漏水と放射能汚染対策を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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炉心溶融 漏水と放射能汚染対策を急げ(5月17日付・読売社説)

 福島第一原子力発電所1号機で、原子炉内にある核燃料の大半が溶け落ちるメルトダウン(炉心溶融)が起きていた。

 東京電力が、1号機の中央制御室に残っていた炉の温度や圧力のデータを回収、分析して溶融の経過を推定した。

 核燃料の損傷は、3月11日の津波襲来から約4時間後に始まり、約15時間で原子炉圧力容器の底部にほとんどが落下したという。政府・東電はこれまで、溶融した核燃料は半分程度とみていた。

 原子炉を冷却する電源や水が失われると、核燃料が過熱して炉心溶融は急速に進む。その場合の東電の緊急対応策に不備があったことは間違いない。

 東電と、原発安全規制を担う政府は猛省する必要がある。

 こうした緊急対応策は、1990年代から、日本を含め世界の原子力利用国が、原発の安全性向上を目指す中で整備してきた。

 福島第一原発で実施された原子炉からの排気(ベント)作業もその一つだ。冷却機能喪失時に、炉の圧力を下げて破壊を防ぎ、炉内への注水を容易にして炉心溶融を回避する非常手段とされる。

 福島第一原発でも、この作業を想定していたが、着手が遅れた。実施されたのは、炉心溶融が起きた後だった。

 二度とこうした事態が起きないよう、他の原発でも万全の緊急対応策を講じておくべきだ。

 1号機圧力容器の底部に落下した核燃料は、外部から注水を継続することで、冷却できている。当面は、大量の放射性物質が放出される危険性は小さい。

 だが、圧力容器が損傷し、冷却用の水が漏れ出していることも先週、新たに判明した。

 事故の収束に向け、政府・東電が先月まとめた工程表では、1号機の原子炉を水で満たして冷却する「冠水」を目指していた。それが不可能になった。

 漏れた水は、原子炉を覆う建屋の地階に流入している。漏水が何か月も続けば、放射性物質で高濃度に汚染された水が外部にあふれ出る恐れもある。

 1号機は爆発で建屋上部が壊れている。梅雨になり、そこから雨水が入ると、汚染水はさらに増える。今の注水方式に代わる新たな冷却方法を考えねばならない。

 2、3号機も炉心溶融の可能性が指摘されている。漏水は1号機よりも多い。対応を急ぎたい。

2011年5月17日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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