HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 16 May 2011 23:07:20 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:大震災と業績 苦境乗り越える経営を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

大震災と業績 苦境乗り越える経営を

2011年5月17日

 自動車や電機など主要企業の二〇一一年三月期決算発表が出そろった。東日本大震災による被害や特別損失を計上するところが目立った。今期も厳しいが苦境を乗り越える経営を推進してほしい。

 最近の企業業績は変動が激しい。〇八年三月期は過去最高の好決算となったが、同年秋のリーマン・ショックで翌年は戦後最悪の落ち込みに。主要国挙げての景気対策で一〇年はほぼV字形に回復した。そして今年は大震災が足を引っ張った。

 日本を代表するトヨタ自動車の売上高は前期比微増の約十九兆円、営業利益は同大幅増の四千六百億円強。だが震災による減産などで利益は千百億円も減った。

 日立製作所は茨城県内の工場が被災したことで、営業利益が七百五十億円も減少した。

 東北電力は約千百億円の特別損失を計上した。原発事故の賠償問題を抱える東京電力は二十日に巨額の損失を発表する予定だ。

 決算発表全体をみれば二期連続の増益となるものの、鉄鋼や製紙、食品、鉄道など多くの企業が減収や減益決算を強いられた。

 だが大震災の影響はこれからが正念場である。

 大手証券会社の集計では上場企業の約四分の一が一二年三月期の業績見通しの発表を見送った。震災被害に加え原発事故や電力不足の影響、円高などが理由だ。大手信用調査会社によると回答した約一万社の三社に一社が今期は減収減益になると予想している。

 東日本大震災を機に、企業経営者はあらためて事業の継続の難しさに気付いたことだろう。

 大災害やテロ発生などに備えて事業継続計画(BCP)を策定している企業は多い。あらかじめ現場責任者らの役割と復旧手順、資材調達先などを決めておき、緊急時に発動する仕組みだ。

 だが今回は危機的な原発事故と電力不足の長期化、日本製品への放射線検査実施など想定外の問題が発生した。部品調達・供給網(サプライチェーン)の再建も急務だから計画の見直しが必要だ。

 人材や技術、資金、情報などの経営資源を有望事業に投入する「選択と集中」も点検すべきだ。コスト削減を過度に追求すればリスクも跳ね上がる。

 リーマン・ショックで業績が悪化したとき「これは経営者の責任ではない」と公言した財界首脳がいた。こんな無責任は排したい。危機に直面して奮起し、業績を立て直すことが経営者の責任だ。

 

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