HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38813 Content-Type: text/html ETag: "6d5a2-1649-b4ac7e80" Expires: Fri, 13 May 2011 22:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 13 May 2011 22:21:41 GMT Connection: close 地震保険 頼れる仕組みへ改善を図れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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地震保険 頼れる仕組みへ改善を図れ(5月14日付・読売社説)

 東日本大震災をきっかけに、地震保険への関心が高まっている。

 今回の震災では、津波で多くの人が住宅を流された。保険金は、生活再建の貴重な元手となる。

 保険金の支払額は12日までで計6700億円にのぼっている。損害保険各社は今後も、着実に支払いを進めてもらいたい。

 地震保険は1964年の新潟地震をきっかけに始まった。火災保険では地震や津波の被害が補償されないことが問題になり、被災者の生活安定を目的に作られた。

 当初は住宅と家財の合計で150万円が契約額の上限だったが、順次上積みが図られた。住宅や家財の価値の半額までという上限はあるが、阪神大震災後に現行の住宅5000万円、家財1000万円に拡充された。

 日本損害保険協会によると、都内の平均的な新築一戸建てで、住宅本体の価値は2000万円程度で、住宅分の契約上限は1000万円くらいになるという。

 被災者の住宅再建には、最大300万円を支給する国の支援制度もある。だが、これに地震保険を加えても、全壊した住宅を建て直すのは難しく、保険の補償額に物足りなさを感じる人は多い。

 被害の査定が厳しく、保険金が思ったほど出ないとの不信感も根強い。このため、地震保険の世帯加入率は阪神大震災の時の9%から23%に上昇したが、近年は伸び悩んでいる。

 これまでの地震で、保険金が満額出た割合はどれくらいかなど、基本的なデータが示されていないことも、地震保険への疑念が晴れない要因だろう。保険業界は、消費者の疑問に丁寧に答え、情報開示を徹底すべきだ。

 保険料が高すぎるとの声もある。木造住宅に1000万円の地震保険をかけると、地震のリスクが高い東京都や愛知県の基本保険料は年3万円強、最も安い県でも1万円かかる。保険料の割引制度などを充実できないだろうか。

 多数の被災者を補償するのは、民間損保だけでは限界がある。このため、地震保険の支払総額が1150億円を超えると、国の特別会計が保険金の50〜95%を負担する仕組みが設けられている。

 今回の支払総額について野田財務相は、9700億円にのぼるとの見通しを示した。この金額であれば、民間の準備金と特会の積立金で十分に賄える。

 ただし、原資は大幅に目減りする。「次の震災」への備えをどう固めておくかが課題となる。

2011年5月14日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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