HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 13 May 2011 22:07:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:社会保障改革 「支えあい」へ磨き合え:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

社会保障改革 「支えあい」へ磨き合え

2011年5月13日

 社会保障と税の一体改革を議論する政府の集中検討会議に、厚生労働省が社会保障制度改革原案を示した。これを基に改革案が作られるが、誰もが負担と給付に納得できる制度が求められている。

 改革原案は、世代間の公平性を重視した。高齢者中心の社会保障から、制度の支え手となる子供の育成、若者の雇用対策を加え全世代を支援する制度に転換する。

 社会保障は今現役三人が高齢者一人を支える騎馬戦状態から、二〇五五年には一人が一人を支える肩ぐるま状態になる。制度の担い手の育成や自立支援を厚くすることは当然だ。

 増加する非正規労働者の厚生年金などへの適用拡大、貧困や低所得者対策など社会情勢の変化に合わせた保障の充実も図る。

 年金は厚生年金と共済年金の一元化など現行制度の改善にとどめた。医療と介護は、効率化でよりニーズに合ったサービスの提供を整える。効率化は必要だが、弱者切り捨てにならぬ配慮も要る。

 ただ、原案は自民党政権下の〇八年、社会保障国民会議が打ち出した改革案を基にしている。社会保障の機能強化を図る方向性はいいが、目新しさは感じない。

 世代間の公平性確保では、給付抑制や負担増も盛り込まれた。年金では高所得者の基礎年金減額、医療では高齢者の窓口負担増などが想定されている。

 社会保障費は高齢化で毎年約一兆円ずつ増え続ける。少子化も止まらない。社会保障費の約七割は年金、介護など高齢者に回されている。子供や孫の世代への負担の先送りを見直し、高齢者の負担とのバランスを取るべきだ。

 昨年、新たな高齢者医療制度をつくる際、窓口負担増が検討されたが、民主党は統一地方選を前に反対した。今回の改革案作りでは、給付抑制や負担増にも切り込む覚悟が要る。

 集中検討会議は五月末までに改革案を決め、六月中に財源を含む一体改革案を示す。

 東日本大震災の復興にもかなりの財源がいる。政府内には復興財源に消費税を充て、いずれ社会保障費の財源にするとの案もある。だが、復興財源と恒久的な社会保障制度の財源のあり方は別だ。

 社会保障制度は、国民が支えあいながら「安心」を得るものだ。そのための負担増への覚悟と理解はあるはずだ。財政の無駄をなくすなど負担を受け入れる環境も整え、財源論議を進めるべきだ。

 

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