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5月13日付 編集手帳

 雨の朝、天使が仲間の天使に弾んだ声で言った。「やったね!きょうは座って遊べるよ」――西洋の小咄(こばなし)にある。晴れ渡る空を飛び回るのも楽しいが、たまにはのんびり雨雲の上で座って過ごしたいときもあるらしい◆5月半ばといえば地上はまだ、木々の若葉越しに抜けるような青空を仰いでいたい季節である。座って遊ぶのはもうひと月ほど待ってほしいところだが、ここ何日か、列島は梅雨のはしりのような雨雲に覆われている◆思えばこの春ほど、自分の住んでいない地域の気象情報に耳を傾け、目を凝らした春もない。きょうの寒さはいかほどか。晴れているのか、いないのか…◆大きな本震と、たび重なる余震で地盤のゆるんだ被災地では、土砂崩れが起きやすくなっている。ただでさえ不自由な生活のなかで、心配の種が増えるのはつらかろう。天使もきっと、雨雲の上ではしゃいではいまい◆『雨のことば辞典』(倉嶋厚監修、講談社)に〈(てん)(きゅう)〉という言葉を教わった。いわゆる天気雨の異称という。天が泣く。天気雨に限らず、被災地に降る雨という雨を〈天泣〉と呼んでみたい5月である。

2011年5月13日01時17分  読売新聞)

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