HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38853 Content-Type: text/html ETag: "dc4ff-15d9-a7f5ab80" Expires: Wed, 11 May 2011 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 11 May 2011 22:21:05 GMT Connection: close 原発賠償策 東電が賄えぬ分は国が責任を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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原発賠償策 東電が賄えぬ分は国が責任を(5月12日付・読売社説)

 これで万全の被害救済ができるかどうか、不安の残る内容である。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する賠償策の枠組みが11日、まとまった。

 東電が払い切れない賠償金は、国が立て替え、後で東電が分割返済する仕組みとなる。被災者への支払いが不可能になるといった事態はなんとか回避されそうだ。

 賠償の義務は原則、東電にあり最大限努力するのは当然だ。

 だが、東電の負担が事実上、無制限とされているのは疑問だ。このままでは、東電の経営体力が続かず、賠償金支払いと電力の安定供給に支障が出る恐れがある。

 政府には、原子力政策を推進してきた責任がある。賠償総額が一定以上膨らんだ場合には、国がきちんと負担する仕組みを導入すべきであろう。

 賠償策は、海江田経済産業相らが中心になってまとめた。

 まず、国と電力業界が、東電による賠償を資金的に支援する新組織を設立する。支援の原資は国債の一種で調達する。賠償に使った分は、東電が長期間にわたって返すことになる。

 東電は、賠償の資金を自ら捻出するため、徹底的なリストラを求められる。すでに、経営首脳は役員報酬を返上し、一般社員も20%賃金カットすることを決めた。

 これだけの事故を起こし、国の支援をあおぐ以上、当然の措置といえよう。

 東電以外の電力各社も、負担金を機構に拠出する。東電の原発事故は他人事とは言えまい。万が一の場合に備え、資金を積み立てておく仕組みがあっていい。

 問題は、国の負担が極めて限られている点だ。

 原子力損害賠償法では、地震や津波による事故について、国が発電所1か所あたり最大1200億円を補償することになっている。今回の賠償策では、国の負担は基本的にこれだけだ。

 政府は、国にも賠償の責任があると再三、強調してきた。ならば前面に立ち、さらなる負担に応じるべきではないか。

 賠償法には、「巨大な天災地変」が原因とされれば、国が全面的に負担するとの規定もある。

 農業や水産業への風評被害も含めると、賠償総額は兆単位に膨らむのは確実だ。この大半を東電と電力業界任せにするのでは、責任ある態度と言えまい。

2011年5月12日01時34分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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