HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39051 Content-Type: text/html ETag: "1681e6-1679-8f3e8d00" Expires: Wed, 11 May 2011 03:21:11 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 11 May 2011 03:21:11 GMT Connection: close 遅れる特別立法 政治が復興の足かせでは困る : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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遅れる特別立法 政治が復興の足かせでは困る(5月11日付・読売社説)

 東日本大震災の復興に関する一連の特別立法の作業が遅れている。

 政治が復興の足を引っ張るようでは困る。菅首相は、政治家と官僚が足並みをそろえて作業できる体制を整える必要がある。

 与野党も、法案の早期成立に向けて接点を真剣に探るべきだ。

 被災者支援の税制関連法は4月末にようやく成立したが、市街地復興の特例措置や所有者不明の土地の扱いなどを定める多くの法案は閣議決定にも至っていない。

 民主党は、作業チームを設置し、政府に先行して特別立法の内容を検討していた。だが、政府との連携が不十分なうえ、財源の増税構想に党内からも異論が噴出し、かえって全体の作業が遅れた。

 自由かつ活発に議論はするが、迅速に決断できず、ずるずると結論を先送りする――。民主党政権の政策決定の根本的な欠陥だ。

 特に迷走しているのが、復興を担う組織を定める復興基本法案である。10日に予定されていた閣議決定も、先送りされた。

 政府・民主党は、首相と全閣僚による「復興対策本部」を設置し、新設する事務局以外は、既存の関係府省を活用する考えだ。

 与野党協議の末、「復興再生院」創設を主張する自民党に配慮し、法案付則に「復興庁」設置の検討を盛り込む予定だが、野党の賛成を得る見通しは立っていない。

 与党の国民新党も、与野党の代表が参加する組織の創設を主張して譲らず、法案の閣議決定が大幅に遅れている経緯がある。

 衆参ねじれ国会の下、野党や連立相手に極力配慮せざるを得ない事情はわかるが、ここまで迷走が続くのは、菅首相の指導力不足と言うほかない。

 自民党の唱える「復興再生院」は、既存の府省との二重行政に陥る恐れが強い。新組織の人事や権限をめぐる府省間の不毛な対立も避ける必要がある。基本的には、対策本部方式が効率的だろう。政府案の早期成立を図るべきだ。

 「国民の英知を結集する」として発足した有識者による復興構想会議も、議論が拡散しがちで、6月末の提言に向けての意見集約を危惧する声が出ている。

 増税論議が先行したのは、事前の議題の設定があいまいだったことに起因する。下部組織の検討部会との役割分担が不明確なことも混乱に拍車をかけている。

 菅首相は、統一地方選の敗北で求心力が一段と低下しているが、現状を放置せず、節目節目で指導力を発揮する責任がある。

2011年5月11日01時36分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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