HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38847 Content-Type: text/html ETag: "15ddd8-1642-8f3e8d00" Expires: Wed, 11 May 2011 00:21:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 11 May 2011 00:21:40 GMT Connection: close 新聞の責任 被災地再建を報道で支えたい : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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新聞の責任 被災地再建を報道で支えたい(5月11日付・読売社説)

 東日本大震災から2か月。未曽有の巨大地震・津波・原発事故は、われわれ新聞人にも、報道の責任と使命の重さを痛感させた。

 3月11日の地震発生直後から大勢の記者が被災地に入った。自らもその惨状に衝撃を受けながら、被災状況、住民の声、救助・救援活動や自治体の奮闘ぶりなどを取材し、報じてきた。

 事実の重みを記者が感じ、報じることの意味を考えつつ紙面を作る。責任感の伴う作業である。

 そうした記事が、多くの人の共感を呼び、関心を被災地に集めたと言っていいだろう。政府や自治体を動かし、内外からの手厚い支援を集めることにも少なからず貢献できたのではないだろうか。

 被災者向けには、生活関連情報を集めた「震災掲示板」といったページを連日掲載している。インフラ復旧、病院の診療情報、入浴できる場所、安否情報――。

 本来こうした情報を収集し発信すべき自治体が、その手段を失っていた。代わって新聞などメディアが届けた情報は、多くの人に利用してもらえたに違いない。

 テレビやラジオ、インターネットも、それぞれの特性を生かした報道、評論活動を展開している。迫力ある映像やネットの情報発信力には驚かされることが多い。

 今回、全国紙も地方紙も、地域の新聞も少なからず被災した。多くの販売店が津波の被害を受け、一時、宅配ができなくなった。印刷工場も被災、新聞用紙やインキ不足も追い打ちをかけた。

 それでも「新聞を届けたい」という気持ちは、すべての新聞人に共通した思いだったろう。

 読売新聞の記事配信を受けている地域紙「石巻日日(ひび)新聞」は、浸水や停電で輪転機が使えなくなった。記者は胸まで水につかって情報を集め、6日間、手書きの壁新聞を発行し続けた。不屈のジャーナリズム精神を教えられる。

 この壁新聞は、いま海を渡り、歴史的な新聞などを収蔵している米ワシントンのニュース博物館に展示されている。

 新聞が届くと人々が集まってきて回し読みが始まる――。あちこちの避難所でこんな光景が見られた。必要な情報を繰り返し読めて多くの人が話題を共有できる。それは紙媒体の強みと言える。

 新聞に求められるのは、正確な報道と責任ある主張を通じ、復興を後押ししていくことだろう。

2011年5月11日01時36分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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