HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 09 May 2011 22:07:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:景気と雇用 悪化防ぐ復興予算急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

景気と雇用 悪化防ぐ復興予算急げ

2011年5月9日

 東日本大震災と原発事故を機に日本経済の減速・悪化がはっきりしてきた。本年度第一次補正予算だけでは力不足だ。景気に活力を持たせ雇用を改善するには大規模な復興予算の編成が急務である。

 大震災の景気への衝撃度はリーマン・ショックを上回る。三月の鉱工業生産指数は前月比15・3%の低下、家計調査では消費支出が前年同月比8・5%減。四月の国内新車販売台数は前年同月比で半減と、それぞれ過去最大の落ち込みとなった。

 雇用では三月の完全失業率は前月と同じ4・6%だった。これは岩手、宮城、福島の被災三県を除いた数字で三県の失業者は約七万人に達した。厚生労働省は雇用判断を厳しい方向に修正した。

 日本経済全体への損失額は、まだ正確な規模がつかめていない。内閣府は住宅や工場、港湾など直接的な損害額だけで最大二十五兆円、米大手格付け会社は復興額は同五十兆円と試算している。

 当分は厳しい状況が続く見通しであり、日銀は「展望リポート」の中で二〇一一年度の国内総生産(GDP)の実質経済成長率を0・6%に下方修正したほどだ。

 このほど成立した四兆円強の本年度第一次補正予算は被災地のがれき処理やインフラ整備・仮設住宅建設などが柱となっている。

 雇用面では地方自治体の雇用創出基金の積み増しや雇用調整助成金の拡大を行う。これによって約百七十五万人の雇用を維持し創出することを見込んでいる。

 だがもっと抜本的な対策が不可欠である。大震災発生から間もなく二カ月というのに政府の対策はあまりにも遅く、小規模だ。

 被災地を中心に景気と雇用を改善するには「特区」創設など大胆な構想の下で再建を図ることが重要だ。大型公共事業に加え水産業や製造業、中小小売業などを活性化し新産業を発展させる税制・金融策が欠かせない。

 雇用の中身も改善が必要だ。臨時ではなく長期・安定的な職場を確保する。JR東日本や福山通運など被災者を正規採用する企業をしっかり支援すべきだ。

 企業の中には大震災に便乗した解雇や雇い止めをするところがある。また電力不足を理由に深夜労働を拡大すべく時間外労働の割増賃金凍結を求める動きもある。労働者いじめをしてはならない。

 復興の現場をけん引するのは個々の民間企業だ。従業員の力を結集して、地域社会と日本経済再建の原動力となってもらいたい。

 

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