HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39111 Content-Type: text/html ETag: "b7e34-1664-df042a80" Expires: Fri, 06 May 2011 22:22:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 06 May 2011 22:22:43 GMT Connection: close ユッケ食中毒 形骸化した生肉規制の点検を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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ユッケ食中毒 形骸化した生肉規制の点検を(5月7日付・読売社説)

 生の牛肉による食中毒が拡大している。

 問題となっているのは焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」だ。

 6日までに、富山、福井、神奈川各県の店舗で生肉のユッケを食べた客のうち4人が、腸管出血性大腸菌(オー)111に感染するなどして死亡した。

 疑い例を含め100人近くが腹痛や下痢などの症状を訴え、うち20人以上が重症となっている。

 警察は業務上過失致死容疑で強制捜査に乗り出した。

 なぜ、これほど症状が重く、しかも被害者が複数の県にわたる食中毒が発生したのか。徹底した原因究明が必要である。

 問題の牛肉は、東京都の食肉加工卸業者から焼き肉チェーン各店舗に納入された。

 大腸菌が付着したのは牛肉の納入以前なのか、各店舗に納入された後なのか、各都県の衛生当局が菌の遺伝子型を分析するなど、慎重に調査している。

 ユッケなど生肉料理について、厚生労働省は1998年に「生食用食肉の衛生基準」を局長通知で定めている。

 O111と同様に食中毒を起こす大腸菌O157が、牛の生レバーに付着して食中毒を起こす事例が相次ぎ発生したためだ。

 生食用食肉の専用設備を使い、衛生管理を徹底するなど、基準を満たした処理を行った肉だけが「生食用」として出荷できる。

 ところが、生食用としてどういう肉を客に出すかは、それぞれの焼き肉店まかせになっているのが実情のようだ。問題の焼き肉チェーンに納入した業者は、保健所に対して「出荷する肉は加熱用だ」と説明しているという。

 今回の事件で、生食用食肉の衛生基準が形骸化している現状が浮き彫りとなった。

 現行の衛生基準には、法的強制力がなく、ほとんど守られていない。厚労省も、業界に対して強い姿勢で基準順守を求めることを怠ってきた。

 厚労省は、今回の事件を受け、生食用食肉の基準を満たさない肉がユッケなどで提供されないように監視・指導を強めるとしている。生食用の衛生基準を食品衛生法に規定し、違反した場合の罰則も定める方針だ。

 結果の重大さを見れば、こうした規制強化は当然である。

 馬肉や鶏肉など生食されている他の肉でも、基準が守られているかどうか、不安に感じる人もいるだろう。安心して生肉料理を食べられるよう、総点検が必要だ。

2011年5月7日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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