HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 06 May 2011 00:07:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:先月亡くなった詩人の岸田衿(えり)子さんに「小学校の椅子」…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年5月5日

 先月亡くなった詩人の岸田衿(えり)子さんに「小学校の椅子」という作品がある。<ながいながい一生のあいだに/みじかいみじかい一瞬に/だれでも/いちどは/ここへ戻ってくる/みんながいなくなった教室/さわるとつめたい/木の椅子に>▼冷んやりとした椅子の感触がよみがえってくる。校庭を走り回った仲間、原っぱで振り回したバットの手触り、こっそりチョコレートを手渡してくれた女の子のはにかんだ笑顔…。楽しい場面ばかり浮かぶのは幸せだ▼東北には、机を並べていた友を津波で失った子どもがいる。孤児になってしまった子どもがいる。原発から漏れ出る放射能から逃れるため、仲間と散り散りになってしまった子どもがいる▼校舎自体が津波にのみ込まれ、まだ全員の遺体が見つかっていない小学校もある。火災で焼けた小学校もあった。子どもたちの椅子には、悲しい記憶が刻まれてしまった▼きょうはこどもの日。約三百五十人が今も避難生活を送る宮城県石巻市の青葉中学の校庭には三月末から、約六十匹のこいのぼりが泳ぐ。阪神大震災の被災地にある小学校の児童が作った。一つ一つ色が違うこいのぼりが子どもたちを励ましている▼笑顔を見せていても、被災地の子どもたちの心の傷は深い。心の底から笑える時まで支えたい。そのために何ができるのだろう。こどもの日に考えてみたい。

 

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