HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38715 Content-Type: text/html ETag: "a5350-16c9-ecfca780" Expires: Fri, 29 Apr 2011 22:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 29 Apr 2011 22:21:08 GMT Connection: close 英王子の結婚 愛される王室復活の一歩に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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英王子の結婚 愛される王室復活の一歩に(4月30日付・読売社説)

 英国のウィリアム王子とキャサリン(愛称ケイト)・ミドルトンさんの結婚式が、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた。

 新郎は、かつて大勢の人を(とりこ)にした故ダイアナ妃とチャールズ皇太子の長男で、父に次ぐ英王位継承者である。

 将来の英国王が一般家庭出身の女性と結婚するのは約350年ぶりで、挙式の模様は世界中で中継され、推計20億人が見守った。

 英王室が依然として、人々の強い関心の的であることを示したと言える。米アカデミー賞を受賞した映画「英国王のスピーチ」も、注目に一役買ったのだろう。

 ただ、英国民の挙式を見る目は王子の両親が結婚した30年前とは少し違っていたようだ。

 チャールズ皇太子とダイアナ妃の挙式の際、人々は「おとぎ話」の世界に浸り、熱狂した。だが、1990年代になって、二人の別居、離婚、妃の事故死が続き、それまで隠されていた王室内の葛藤がさらけ出された。

 19世紀のビクトリア朝時代から英王室が育んできた「理想の家庭」像が瓦解したのである。

 90年代には、皇太子の妹のアン王女や弟のアンドリュー王子の離婚騒動もあり、英王室は大衆紙の格好の餌食になった。

 英王室の結婚をめぐる醜聞は、離婚問題でカトリック教会と(たもと)を分かった16世紀のヘンリー8世をはじめ、数々の先例があるが、90年代の騒動では、一部の有力紙が王室廃止論まで唱えた。

 しかし、最新の世論調査では、英国民の4人に3人が現在の立憲君主制を支持している。ダイアナ妃の悲劇の遠因をつくった皇太子についても、王位継承を認める国民が約半数にまで増えた。

 英王室への支持が回復した背景には、変化の激しい時代に、変わらないものへの愛着があると言われる。イスラム教徒移民が増え、社会の新たな階層化が進む中で、国民統合の象徴がやはり必要だと考えられてもいるのだろう。

 王室自身の改革努力も見逃せない。エリザベス女王は自ら税金を払い、王室の緊縮財政に協力するようになった。今は「開かれた王室」をアピールしてもいる。

 英国では王位は直系男子優先で継承されてきたが、性別にかかわらず長子が継承する制度に改める議論も進んでいる。

 日本の皇太子ご夫妻は大震災の被災者の心情を考え、挙式への参列を取りやめられたが、英王室との関係は今後も深めてほしい。

2011年4月30日01時11分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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