HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 29 Apr 2011 21:11:17 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:原発賠償指針 素早くきめ細やかに:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

原発賠償指針 素早くきめ細やかに

2011年4月29日

 東京電力の原発事故がもたらしている甚大な損害のうち、当面賠償すべき範囲を判定する国の目安ができた。賠償金の支払いは待ったなしだ。国と東電は被害救済に全力を挙げてほしい。

 原発事故で誰にどういう損害が生じ、東電はどこまで賠償すべきか。文部科学省に設けられた原子力損害賠償紛争審査会はその目安となる指針を検討している。

 第一次指針は、被害の範囲がほぼはっきりしていて、賠償金額を弾(はじ)き出しやすいものから前倒しで救済しようとの考え方に基づくものだ。

 事故は収束しておらず、被害の規模も、範囲も、期間も確定していない。避難住民の心身の苦しみや企業の経済的な損失はどんどん膨れ上がっている。

 被害者の生活は想像を絶するほど切迫しているだろう。できるところから少しでも早く補償するのは現実的なやり方だ。

 指針では、国の指示で避難や屋内退避を余儀なくされた人や、放射能汚染で野菜や魚の出荷制限を強いられた農民や漁民らがまず対象とされた。

 避難費用や企業の損失、勤め人の給与、病気の治療費、放射線の検査費用−。賠償すべきさまざまな項目が網羅されている。

 とはいえ、たった三回の話し合いでつくった指針だ。見落としたり、発想が及ばなかったりした項目があるかもしれない。被害者の声に耳を傾けて修正したり、追加したりする柔軟さが大切だ。

 賠償金額がきちんと確定する前でも、東電は定期的に支払ったり、一部を前払いしたりするよう配慮すべきだ。支払いが円滑にできるよう自治体の協力を仰いではどうか。自治体は住民の避難実態の把握を急がなくてはならない。

 宿題も残された。故郷を追われた住民の精神的苦痛をどう判定するのか。福島県にとどまらない農漁業の風評被害をどう救済するのか。速やかな結論を望みたい。

 今度は国の経済被害対応本部を中心にいつどうやって賠償を実行に移すのか決めることになる。東電は一世帯百万円の生活資金の仮払いを避難住民に始めたが、すぐに底を突くだろう。国には素早い決断を求めたい。

 まだたくさんの指針が要る。避難指示などの区域外の人をどう扱うのか。原発作業員らの放射線被曝(ひばく)の被害など課題は山積みだ。

 審査会には東電と被害者の和解を取り持つ役目もある。賠償が動きだす前に備えておくべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo