HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39379 Content-Type: text/html ETag: "15dde5-1619-9eba70c0" Expires: Tue, 26 Apr 2011 23:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 26 Apr 2011 23:21:05 GMT Connection: close 閣僚の外遊 「外交重視」の国会慣例を作れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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閣僚の外遊 「外交重視」の国会慣例を作れ(4月27日付・読売社説)

 国会審議の都合で、首相や閣僚が外国訪問を中止し、日本の影響力を弱めて国益を損ねる。そんな長年の悪弊を、もう断ち切る時である。

 与野党が、大型連休中の松本外相の4か国訪問を容認することで一致した。外相の外遊は、第1次補正予算の審議と重なるため、見送り論が出ていたが、外相が不在の審議では外務副大臣らの代理答弁を認めることにした。

 この合意を歓迎したい。

 国会では、予算審議の基本的・総括的質疑に首相と全閣僚が出席する慣例がある。この慣例を墨守し、外交を二の次にすることの弊害に鈍感であってはなるまい。

 野党の自民、公明両党は、与党時代に首相・閣僚の外遊が制約された苦い経験を踏まえ、今回、外相の外遊を後押しした。「大人の対応」と評価できよう。

 今回の合意を機に、与野党は、外交を重視する新たな国会慣例の確立を目指してもらいたい。

 松本外相は29日に出発し、米国でクリントン国務長官らと会談する。ドイツで核軍縮の外相会合、セネガルでアフリカ開発会議のフォローアップ会合に出席し、ベルギーでは欧州連合の貿易相と会談する予定だ。

 いずれも、重要な外交案件である。加えて今回は、日本が東日本大震災の復興を成し遂げ、国際社会に積極的に関与していく姿勢をアピールする好機だ。

 日本の農産・工業品は、放射能汚染を警戒する国から輸入規制されている。外遊の中止は、震災被害が今なお深刻という誤ったメッセージを海外に送り、新たな風評被害を誘発する恐れもあった。

 外交の世界では、外相の訪問は、代理の副大臣と比べて、格段に重く扱われる。その機会の放棄は国益を確実に害するという認識を、与野党は共有する必要がある。

 例えば、日本は2008年の横浜でのアフリカ開発会議で、5年間でアフリカ向け援助を倍増し、最大40億ドルの借款を供与すると表明した。だが、それだけでは「小切手外交」にもなりかねない。

 その後、アフリカで毎年開かれている閣僚会合に日本の外相が出席し、きめ細かな対応をしてこそ、50か国超との信頼関係を築ける。日本の発言力も確保できる。

 アフリカでは、中国が資源確保を目指し、猛烈な援助外交を展開している。日本が無策でいれば、影響力が低下するばかりだ。

2011年4月27日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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