HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38216 Content-Type: text/html ETag: "b8f0f-1636-21157d40" Expires: Sat, 23 Apr 2011 20:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 23 Apr 2011 20:21:38 GMT Connection: close フクシマの波紋 原発政策で比重増す安全論議 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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フクシマの波紋 原発政策で比重増す安全論議(4月24日付・読売社説)

 東京電力の福島第一原子力発電所の事故が、欧州の原子力政策を揺さぶっている。

 ドイツでは、メルケル首相率いる保守・中道連立政権が、原発の稼働期間を延長しようとしていたが、事故後、早期に全廃する方針を打ち出した。中道左派政権時代の「脱原発」への回帰である。

 ドイツの方針転換は、先月27日の州議会選挙で示された反原発世論の高まりを受けたものだ。

 イタリアでも、原発の新規建設を目指していたベルルスコーニ政権が、建設に向けた手続きを無期限で凍結すると発表した。

 電力の8割を原発に頼るフランスでも、世論調査では賛成派が震災前の66%から58%に減った。

 安全性が高いとされた日本の原発で起きた事故の深刻さや収拾の難しさが、原発への忌避感を増大させたのだろう。日本は事故が与えた影響の大きさを認識し、早期収束に努めなければならない。

 脱原発を決めたドイツでは、電気料金の高騰による産業競争力の低下や家計の負担増を懸念する声が早くも上がっている。

 代替エネルギーの開発や送電設備に多額の投資が必要と試算されているからだ。脱原発の道のりは紆余(うよ)曲折が避けられまい。

 事故後も、原発政策を変えない国は厳然としてある。

 オバマ米大統領は先月30日の講演で、2035年までに電力の8割を温室効果ガスを排出しない資源で生み出す方針を表明し、「原発はその大きな柱」と語った。

 原発推進の理由に、原油などエネルギー資源の海外依存度を減らす必要性も強調している。

 フランスは既存原発の安全性を再確認する必要性は認めたが、推進方針に変化はない。

 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国(BRICS)の首脳も今月14日、「原発増設は不可避」との認識を示した。高度経済成長を支える電力の需要増に対応する必要があるからだろう。

 原発は、運転中は温室効果ガスを出さないことから、再評価されつつあった。その動きがフクシマを契機に後退すれば、温暖化対策に大きな影響が及ぶだろう。

 原発の再生には、国際的な安全基準作りが急務である。そのうえで、中長期的な観点から総合的にエネルギー政策を議論する冷静さが求められている。

2011年4月24日01時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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