HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 21 Apr 2011 03:08:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:極限下に耐える機種を 災害ロボット:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

極限下に耐える機種を 災害ロボット

2011年4月21日

 福島第一原発の原子炉建屋内にロボットが投入された。放射線量が多く作業員が入れない場所で、内部の環境を調べた。だが機材は米国製。日本の災害ロボットはなぜ使えないのか。

 東京電力は遠隔操作で走行する二台を1〜3号機に進入させた。建屋内の放射線量、温度や酸素濃度を調べ、撮影もした。

 米アイロボット社製の「パックボット」。遠隔操作で進み、3号機内部に入るときはアームを使って自力で二重扉を開けた。高レベルの放射線で汚染された危険な場所に入り、内部写真も含めてデータを集めたことに意味がある。

 この機種はイラクやアフガニスタンで爆発物処理などに使われた。軍事目的で開発されたが、災害現場で働くことを立証した。

 ただ能力には限界がある。強い放射線はロボットの集積回路(IC)を劣化させるため、作業時間、内容が限られる。2号機内の湿度は90%を超え、監視用カメラが曇って奥に進めなかった。

 日本は「ロボット先進国」と評価されてきたが、今回の事故で出番はない。日本製は東電に引き渡されてはいるが、強い放射線を浴びる極限状態には耐えられないと判断され、米国製を使ったようだ。今後、がれきを除去するロボットの投入も計画されているが、これらも米国製になる見通しだ。

 災害ロボットの開発は日本も進めてきた。茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で一九九九年、臨界事故が起きたのを機に国の予算が計上され、原子炉建屋内に入ってドアやバルブを開閉できるロボットが開発された。しかし、がれきが散乱して足場が悪い場所を移動する能力はないまま、改良はされなかった。結局“実戦”には使えないものだった。

 日本のロボット技術は世界の最先端を行く分野もある。二足歩行ができたり、トランペットを吹くなど人間に近い行動もする。家事や介護を助ける「生活密着型」では相次いで新機種が出ている。

 それだけに、原発事故に限らず今回の震災で十分な活用がみられないのは、研究、訓練、運用のすべてに問題があったということだろう。

 人間の代わりに危険な場所に入って活動する。これが災害ロボットの役目だ。震災を教訓に、関係官庁と企業、研究者は人間を助けるロボットの開発を本気で追求してほしい。

 

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