HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 19 Apr 2011 22:07:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:クレーン車突入 通学路の安全どう守る:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

クレーン車突入 通学路の安全どう守る

2011年4月19日

 新学期を迎えたばかりの小学生たちの登校の列に、クレーン車が突っ込んだ。いっぺんに六人の命が奪われた。将来のある子どもたちだ。悔しくて言葉が出ない。いったい原因はどこにあるのか。

 悲劇は十八日朝、栃木県鹿沼市樅山(もみやま)町の国道で起きた。一列に並んで歩いていた市立北押原小学校の子どもたち目掛けて、大きなクレーン車が道路を斜めに横切って突進した。歩道にいた子どもたちをはねて、道路沿いの建物を壊して止まった。

 子どもたちは慌てふためき、恐怖を覚えただろう。現場ではがれきにまじってランドセルや靴が散乱した。「弟が巻き込まれた」と泣き叫ぶ女の子もいたという。想像を絶するようなむごさだ。

 学校は現場に居合わせた子どもたちだけではなく、在校生みんなの心のケアを尽くしてほしい。突如としてわが子を失った親や先生の心中を思うと胸がふさがる。

 栃木県警は、クレーン車を運転していた柴田将人容疑者(26)を現行犯逮捕し、自動車運転過失致死の疑いで調べている。酒を飲んだり、薬物を使ったりした痕跡は見つかっていないという。

 しかし、ブレーキを掛けないまま突っ込んだとか、ハンドルを抱きかかえるように突っ伏していたとかいう目撃情報も出ている。脇見や居眠りをしていた疑いも否定しきれまい。県警は徹底して原因を究明してほしい。

 柴田容疑者は昨年、このクレーン車を所有する鹿沼市内の建設会社に採用された。真面目な仕事ぶりで、よくクレーン車を動かす練習をしていたという。

 前日は休みだったのに、この日は出勤直後に会社の近くで事故を起こした。就労条件に無理はなかったか。クレーン車に欠陥はなかったか。入念に調べるべきだ。

 調べに、柴田容疑者は「重大な事故を起こして申し訳ない」と謝罪の言葉を述べている。ところが「人をはねたか覚えていない」と供述しているのは不可解だ。

 集団登下校中の子どもたちが犠牲になる悲しい事故は後を絶たない。二〇〇六年には埼玉県川口市で保育園の子どもたちの列に脇見運転の車が突っ込み、二十一人が死傷する惨事があった。

 今度の現場も同じように見通しが良い道路だったが、歩道にガードレールはなかった。通学路を見直すべきかもしれない。犯罪に強いとされる集団登下校も交通事故になるとリスクが高い。そのことをあらためて念頭に置きたい。

 

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