HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 18 Apr 2011 00:08:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:「人間は柔順な動物であり、どんなことにも馴(な)れてしまう…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年4月18日

 「人間は柔順な動物であり、どんなことにも馴(な)れてしまうところの存在である」と断じたのはドストエフスキーだが、今ここにある危機には、慣れてしまうわけにはいかない▼天気予報と同じように、新聞に毎日載っている「最大放射線量」の図がある。「おや、今日は低いな…」などとつぶやくことに違和感を覚えなくなる自分を想像したくない。先の見えない不安の中、感覚が鈍麻し関心自体を失ってしまうことが怖い▼東京電力はきのう、原発事故の収束に向けた「工程表」を発表した。福島第一原発1〜4号機からの放射線量を着実に減らし、放射性物質の漏出を封じ込めるまでに半年から九カ月を要するという▼収束に向けた見通しが初めて示された意味はあるが、どこまで客観的事実に裏付けられた見通しなのか疑問もある。余震が続けば工程はずれ込む。楽観的な気持ちにはとてもなれない▼海江田万里経済産業相は六〜九カ月後を目標に一部地域の住民に帰宅可能かどうかを伝える考えを明らかにした。住民からすれば、最低でも半年間は帰宅できないという宣告でもある▼牛を飼っている酪農家はどうするのだろう。作付けを断念する農家は、何を支えに生きていくのだろう…。起こしてしまった事故の影響の深刻さをつくづく思う。最大放射線量の図。こんなものが新聞から一日も早く消えることを願う。

 

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