HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 16 Apr 2011 01:08:21 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:原発災害賠償 救済へ腰が重すぎる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

原発災害賠償 救済へ腰が重すぎる

2011年4月16日

 東京電力は福島第一原発事故の避難住民らに賠償金を仮払いすることを決めた。事故から一カ月以上たってからの救済表明はあまりに遅い。故郷を追われた住民らの身になって素早く対応すべきだ。

 仮払いの対象は、原発から半径三十キロ圏内で避難や屋内退避を強いられている住民らだ。圏外でも、積算の放射線量が多い計画的避難区域に指定された住民らも含まれる。福島県内十二市町村の合わせて約五万世帯に上るという。

 当座の生活支援として一世帯当たり百万円、単身世帯は七十五万円が支払われる。着の身着のままで地元を追い出され、資金繰りに困っている人は多い。東電は今月中にも支給を始める。急いで実施してほしい。

 東電は二十八日に福島原子力補償相談室を設ける。収束のめどが立たない事故に、多くの住民らは不安や不満を募らせているに違いない。速やかな情報提供と丁寧な説明に心を砕くべきだ。

 原子力損害賠償法による賠償には時間がかかるとして、政府の経済被害対応本部が仮払いを求めた。本部長の海江田万里原子力経済被害担当相は、東電が一義的に損害賠償の責任を負うべきだと明言し、国有化を否定した。

 仮払いは被害救済のほんの第一歩にすぎない。放射性物質による風評被害や出荷制限で農林水産業が被った損害や、事業休止で中小企業が受けた損害は仮払いの対象外になっている。

 一九九九年に起きた茨城県東海村での臨界事故では百五十人が三日間避難し、核燃料加工会社は最終的に百五十億円の賠償金を支払った。今度の事故の避難者はすでに約八万人に上り、空前の規模の損害賠償が予想されている。

 政府の原子力損害賠償紛争審査会は賠償指針づくりに入った。だが事故が落ち着かないと、賠償の対象となる地域も、事業者も、金額も固まるまい。原子力損害賠償法に基づき東電に出るのは、原発一カ所当たり最大千二百億円の保険金だが、焼け石に水だろう。

 電力業界を挙げての共済制度のような賠償の仕組みも浮上している。東電のみならず、全国の電力会社が原発保有数に応じて資金を負担するという。だが、それで事故に関係なかった地域の理解が得られるかどうか。

 東電は首都圏への電力供給を確保しつつ、納得感のある賠償をすべきだ。一方で、政府は国民負担の最小化を原則にして賠償方法の検討を急ぐ必要がある。

 

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