HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 40625 Content-Type: text/html ETag: "ace23-1651-4b3aaec0" Expires: Thu, 14 Apr 2011 20:22:03 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Apr 2011 20:22:03 GMT Connection: close フクシマ危機 国際社会の懸念を解消せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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フクシマ危機 国際社会の懸念を解消せよ(4月15日付・読売社説)

 日本政府の福島第一原子力発電所事故をめぐる対応に、国際 社会の不信感が高まっている。

 原発事故は世界全体の関心事である。政府は、国内は無論、海外に向けても正確な情報を迅速に開示し、懸念の払拭に努めるべきだ。

 最も問題になったのは、福島第一原発で、低濃度の放射性物質を含む汚染水を海に放出した際、各国への通報が遅れたことだ。

 事故現場では、はるかに危険な高濃度の放射能汚染水がたまり続け、一部が海中に流出していた。その漏れ口をふさぎ、新たにためる場所を作るために、タンクなどに満杯だった低濃度の汚染水の放出が必要だったという。

 汚染水の放出自体は、不可避の緊急措置だったのだろう。

 だが、外務省がファクスやメールで放出を各国に通報したのは、放出開始から2分後だった。「事前の連絡がなかった」と韓国やロシアなど近隣国から強い批判の声が上がったのも無理はない。

 しかも外国どころか、農水省にも事前通報がなく、厚生労働省への通知も遅れたとされる。汚染水放出という重大な方針が関係府省にさえ伝わらなかったのは、政府の危機管理体制が十分機能していないことの証左だろう。

 国際原子力機関(IAEA)の会議でも、汚染水の放出に対する懸念表明が各国から相次いだ。

 事故から1か月以上たって、国際的な尺度による事故の評価を、レベル5から最も深刻な「7」に引き上げたことも、海外のメディアから「日本政府は事故の深刻さを過小評価していたのではないか」などの批判を招いている。

 だが、福島第一原発事故は、大規模な被害をもたらした旧ソ連チェルノブイリ原発事故のようにはなりそうにないことが分かってきた。情報公開の点でも、当局が事故を隠蔽して国際的な非難を浴びたチェルノブイリとは異なる。

 政府は、事故収束に向けた手順や方策を明確に示したうえで、日本を後押ししてくれる国際社会に対して、正確な情報を提供し続ける必要があるだろう。

 一部の国に見られる過剰な反応を沈静化するうえでも有効だ。

 大震災と原発事故に直撃された日本に、世界の人々は今でも惜しみない支援をしてくれている。これまでに支援を申し出た国・地域や国際機関は170以上にのぼっている。

 国際社会との協力が、福島第一原発事故の対応では、今後ますます重要になる。

2011年4月15日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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