HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 14 Apr 2011 22:10:52 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:被災自治体 広域行政を復興の力に:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

被災自治体 広域行政を復興の力に

2011年4月14日

 東日本大震災で庁舎が被災し、移転先や避難先での業務を余儀なくされている自治体が多い。行政機能の回復は、被災者にとって安心のよりどころにもなる。広域的に助け合う視点も必要である。

 福島第一原発がある福島県双葉町は避難指示を受け、役場ごと集団移転した。現在は埼玉県加須市の旧高校校舎に全町民の約二割、約千四百人が生活している。

 同原発周辺の八町村をはじめ、岩手県陸前高田市や宮城県女川町など、庁舎が損壊し別に臨時庁舎を設けた自治体は約二十市町村に上る。計画的避難区域の設定で増える可能性もある。

 安否の確認、がれきの撤去、遺体の埋葬、避難所の運営、住民基本台帳の復元、罹災(りさい)証明の発行、生活情報の発信−。行政業務は通常の何倍になることか。家も家族も失った首長と職員らが献身的に働いている。彼らを突き動かすのは使命感にほかならない。

 被災自治体はどこもマンパワーが足りない。総務省は全国自治体からの職員派遣を進めている。各府省出先機関の国家公務員も随時現地入りしている。全国知事会は早くから職員派遣のマッチング(適合)役を担っている。関西広域連合は支援担当県を決め活動している。国とは別ルートで今後も続けていくという。

 個別の支援も多い。愛知県東海市は、新日鉄事業所がある縁で災害時相互応援協定を結ぶ岩手県釜石市へ、震災当夜に先遣隊を出し援助を続けている。遠く離れていたからこそ協定が生きた好例だ。自治体間の災害応援は頼もしい。同様の協定をもっと増やしたい。

 防災先進県の静岡県は「少しでも近くで」(危機報道監)と岩手県遠野市に現地支援調整本部を設けた。原発立地各県も関係職員を派遣した。訓練では学べない貴重な経験となるだろう。

 震災対応では行政の共通業務が多い。被災県の自治体同士がより連携し、広域的に処理すれば効率が上がるはずだ。戦後復興では議会を含め事務すべてを共同処理する全部事務組合が用いられた。とりあえず一部事務組合の拡大などで対応できないものか。

 復興計画づくりでは広域の視点が欠かせない。市町村合併につながる可能性もある。新潟県中越地震での旧山古志村、能登半島地震での旧門前町が復興に専念できたのは合併効果でもあった。被災自治体が合併を希望した場合には、実情に合った手続きの簡素化など国には柔軟な対応を求めたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo