HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 13 Apr 2011 21:08:27 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:物理学者の寺田寅彦は、昭和九年に書いた随筆で「文明が進めば…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年4月13日

 物理学者の寺田寅彦は、昭和九年に書いた随筆で「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す」(「天災と国防」)と指摘している▼征服したつもりでも、自然は何かのきっかけでおりを破った猛獣の大群のように暴れだし人命を危うくする。大津波の直撃を受けた福島第一原発の事故を見ていると、警句の鋭さを感じずにいられない▼経済産業省原子力安全・保安院はきのう、原発事故の深刻度を示す国際評価で最悪のレベル7へと二段階引き上げたと発表した。過去には旧ソ連のチェルノブイリ原発事故しか例がない▼「チェルノブイリとはまったくレベルが違う」とテレビで力説していた原子力の専門家たちの面々を思い出す。被害を小さく見積もりたいという心理が政府にはなかったか。検証を求めたい▼外部に放出された放射性物質量はチェルノブイリの十分の一程度にとどまっている。だが、四基が同時に危機に陥っていることや汚染水の海への放出はチェルノブイリではなかったことだ▼「自然は過去の習慣に忠実である。地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである」と寺田は「津浪と人間」で書いている。人間は地球に生かしてもらっている弱い存在だ。自然を征服できると考えたおごりが報復されているように思えてならない。

 

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