HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 41543 Content-Type: text/html ETag: "adda8-16c7-ca958380" Expires: Wed, 13 Apr 2011 01:22:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 13 Apr 2011 01:22:12 GMT Connection: close 証拠改ざん検事 厳しい判決を改革への教訓に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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証拠改ざん検事 厳しい判決を改革への教訓に(4月13日付・読売社説)

 検察の組織全体を断罪した司法判断と受け止めなければならない。

 大阪地裁は、郵便不正事件の捜査に絡み、証拠隠滅罪に問われた元大阪地検特捜部の主任検事・前田恒彦被告(43)に、懲役1年6月の実刑判決を言い渡した。

 判決は、前田被告が証拠品であるフロッピーディスクのデータを、検察が描いた構図に合うよう改ざんした行為について、「刑事司法の根幹を破壊しかねない所業」と強く非難した。

 検察官が証拠をねじ曲げれば、無実の人さえも罪に陥れることができてしまう。

 郵便不正事件では、厚生労働省元局長・村木厚子さんの無実が結果的に明らかになった。しかし、村木さんを、長く冤罪(えんざい)の恐怖に向かい合わせた前田被告の行為は、到底許されるものではない。

 判決が言うように、検察だけではなく、刑事司法全体の公正さに対する国民の不信を招いた。

 実刑は、極めて妥当なものと言えるだろう。

 前田被告は、フロッピーディスクが裁判に出ると、弁護側の追及で公判が紛糾し、上司の信用を失ってしまうと考え、改ざんに走った、と判決は指摘した。

 検察官に求められるのは、有罪立証の妨げになる証拠であっても、誠実に向き合い、これを隠蔽しない公正な姿勢だ。動機は身勝手であり、まさに判決の言う「常軌を逸した」行為だった。

 事件の背景には、検察全体を(むしば)む病理があったのではないか。

 郵便不正事件では、特捜部の他の同僚らも、複数の厚労省職員らを誘導し、村木さんが犯行に関与したかのような供述調書を作成していたことが明らかになった。

 上司だった当時の特捜部長と副部長は、改ざんを隠蔽したとする犯人隠避罪で起訴された。

 構図に見合う供述や証拠を集める検察官が優秀と評価される人事は基本的に誤りである。大阪地検特捜部には、是が非でも中央のキャリア官僚を摘発しようという功名心があったと言われる。

 法務省の「検察の在り方検討会議」は検察改革への提言で、検察官の使命や役割、倫理を明文化した規定を制定するよう求めた。速やかに実施すべきだ。

 さらに、特捜部が扱う事件を高検検事長が指揮するとともに、起訴する権限を部外の検察官に委ねる体制も求めている。

 検察はこの判決を教訓とし、国民の信頼回復に向けた改革に、真剣に取り組んでもらいたい。

2011年4月13日01時00分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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