HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 13 Apr 2011 00:08:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:最悪レベル7 収束へ沈着背水の陣で:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

最悪レベル7 収束へ沈着背水の陣で

2011年4月13日

 福島第一原発事故の深刻さを示す国際評価が最悪のレベル7に引き上げられた。二十五年前の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と並んだ。破局回避に向けて背水の陣の覚悟で臨むしかない。

 原子力の国際評価尺度(INES)は、トラブルの実態を分かりやすく示すための世界共通の物差しだ。放射性物質がどのくらい漏れたか。作業員がどのくらい放射線を浴びたか。安全装置がどれほど壊れたか。これらを調べてレベルを決める。

 福島第一原発1〜3号機について、経済産業省原子力安全・保安院は、大量の放射性物質が大気中に放出されたとして国際評価を暫定的にレベル7とした。これまでは放出量の少なかった一九七九年の米国スリーマイル島原発事故と同じレベル5としていた。

 レベル7は史上最悪のチェルノブイリ原発事故と同じだ。だが保安院によれば、放射性物質の放出量はその一割程度にすぎず深刻さは異なるという。それに、作業員の死者は出ていないし、原子炉はほぼ原形をとどめている。いろいろな違いが挙げられた。

 とはいえ、事態の先行きが見通せないだけに国民の不安は募る。東京電力の担当者は、最終的に放出量がチェルノブイリを上回る恐れがあるとの懸念を示している。

 溶融した核燃料と水が反応して水蒸気爆発が起き、原子炉が破壊される可能性が全くないわけではないとの指摘もある。炉心の冷却機能が安定するまではあらゆる楽観論を戒めたい。

 事故発生から一カ月たってからのレベル7の評価はあまりに遅い。大津波で原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が失われ、早くに核燃料が損傷したとみられていた。原子力安全委員会は、放出された放射性物質の多くは2号機の爆発によるものとみている。

 放射線測定は多くのポイントで継続して行うことが大切だ。避難地域の設定や人体への影響、水や食料の汚染といった重大な判断の根拠となる。積み重ねたデータの開示と丁寧な説明こそ内外の不信を払拭(ふっしょく)する。

 事故の推移を固唾(かたず)をのんで見守っているのは、国際社会とて同じだ。諸外国の原子力政策はすでに影響を受けている。日本の力量が試されている。

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、福島第一原発事故のレベル7の意味合いについて国際社会に誤解なきメッセージを発信するべきだ。

 

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