HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 40158 Content-Type: text/html ETag: "551e8-11c6-14c6ca80" Expires: Mon, 11 Apr 2011 02:22:19 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 11 Apr 2011 02:22:19 GMT Connection: close 4月9日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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4月9日付 よみうり寸評

 作家の司馬遼太郎さんは1985年に仙台や石巻を歩いた際、旧石巻ハリストス正教会教会堂に立ち寄った。〈そこに美しい建物が保存されていた〉と「街道をゆく」に記した◆「ハリストス」はロシア語で「キリスト」のこと。明治初期にロシア正教が伝えられ、木造2階建ての教会堂が作られた。宮城県沖地震(78年)で損傷したが、「文化財として保存を」という市民の要望で復元された◆〈東北にハイカラさを感じつづけてきたが、そういう思いを形にすればこれではあるまいか〉とも司馬さんは書いている。その教会堂が東日本大震災で津波の直撃を受けた◆各地の文化財の被害は、文化庁が把握しているだけで400を超す◆明治の美術思想家、岡倉天心が建てた「六角堂」(茨城大学五浦美術文化研究所内)は津波にさらわれて消失。旧水戸藩の藩校「弘道館」も破損した◆石巻の教会堂は倒壊は免れたという。被災地復興の過程で、先人の遺産が一つでも多く往時の姿を取り戻すことを願わずにはいられない。

2011年4月9日15時01分  読売新聞)

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