HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 10 Apr 2011 21:11:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:東北の被災地を歩くと、泥にまみれた写真に目が留まる。津波に…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年4月10日

 東北の被災地を歩くと、泥にまみれた写真に目が留まる。津波に押し流された家に生存者がいないか捜索した人たちが、目に入ったぬいぐるみや家族の思い出の品をより分け、そっと置いてゆく▼丸々と太った赤ん坊を抱く若いお母さん、慣れない手つきでお風呂に入れるお父さん、孫を抱いて破顔するおばあちゃん…。どんな家にもある一冊のアルバムが目に入った。一家にあったはずのささやかな暮らしを思う。命だけは助かっていてほしいと、願わずにいられない▼被災現場で写真などを捜し出すボランティアがいる。宮城県南三陸町では、県内外から集った「思い出探し隊」が、がれきの中から卒業アルバムなどを見つけ出し、丁寧に汚れを落として保管している▼国や自治体の支援を動脈に例えるなら、こうしたボランティアの活動は毛細血管といえるだろう。打ちひしがれている人たちを励ましたいという血の通った思いは、被災者が生きる力を取り戻す助力となるはずだ▼被災地を取材し、岩手県一関市で遅い食事を取っていると、震度6弱の余震に襲われた。落ちた酒瓶やグラスが砕け散り、停電になった。慌てて外に出ると不気味な地鳴りが響いていた▼多くの被災地が再び停電や断水の悩みに直面している。震災から一カ月。ようやく始まった復興の歩みに、自然はどこまで試練を与えるつもりなのか。

 

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