HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 09 Apr 2011 21:11:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:自粛ムード 応援消費が復興支える:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

自粛ムード 応援消費が復興支える

2011年4月8日

 東日本大震災後、イベントなどの中止が相次ぎ「自粛ムード」が全国に広がっている。甚大な被害に、浮かれた気分にならないのは分かる。だが、経済活動の停滞は被災地支援にならない。

 「季節の楽しいイベントの花見も花火大会もない。カラオケ店は客もなく、商店は早じまいする」

 米ニューヨーク・タイムズ紙は、被災後に活動を自粛する日本人の様子を「jishuku」と日本語の読み方で紹介した。海外メディアが驚きを込めて報道するほど、日本では経済活動の自粛が広がっている。

 五月に行われる東京・浅草の三社祭が戦後初めて中止となった。浜松市の浜松まつりも中止が決まった。花火大会も各地で取りやめになった。

 石原慎太郎都知事が「この時期に花見で酒飲んでる時代じゃない」と発言したことから、都は管理する上野公園などで宴会自粛を呼び掛けた。名古屋市の桜の名所、名城公園でも来場者は例年より少ない。

 結婚式や歓送迎会、旅行のキャンセルも相次いでいる。

 これだけの大災害だ。今も約十六万人が避難生活を送る。福島第一原発も安定するめどは立たない。被災者は一日一日を乗り切るのに精いっぱいだ。静かに悼む気持ちは大切にすべきだ。

 だが、経済活動が滞れば被災地の支援にならない。岩手県の酒造会社が「このままでは経済的な二次被害を受けてしまう」と復興に取り組む地元の酒の消費を訴えた。達増拓也知事も「復興支援のためにも力強い経済が不可欠」と呼び掛けている。

 日銀の企業短期経済観測調査(短観)によると、大震災後の景況感は大企業も中小企業も軒並み悪化を見込んだ。個人消費は、国内総生産(GDP)の約六割を占める。「応援消費」で支えたい。

 華美にせず昼間に節度を持って花見をすればいい。被災地の農水産物などの購入も一法だ。石川県の旅館が、料金から一人千円を義援金に充てる宿泊プランを設けた。愛知県の業務用酒販会社は、ビールの売り上げの一部を積み立て寄付することを始めた。事業者は、消費者が利用しやすいこうした仕掛けづくりも工夫できるはずだ。

 周囲の視線を気にした横並び意識からの自粛だとしたら、本当に悼んでいることにはならない。支え合うために、一人一人がよいと思う方法で追悼したい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo