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4月6日付 編集手帳

 釣り竿(ざお)を携え、(たい)を抱えた恵比須さまは漁業の神様でもある。恵比須さまが最も嫌うのは、漁師が船からボルトなどの部品や工具を海に落とすことだという◆「恵比須さまがそれらを陸に押し戻すのに7年かかるとされているので…」と、漁師の緒方正人さんが『常世の舟を()ぎて―水俣病私史』(世織書房)に書いている。部品や工具を工場排水に置き換えれば、そのまま環境問題にあてはまる――とも◆不安と憤りを胸にたぎらせつつ、恵比須さまに手を合わせた漁師の方は多かろう。放射性物質を含む汚染水を、東京電力は原発事故現場から海に放出した◆低濃度の汚染水を海に流すことで、高濃度汚染水の貯蔵先を確保するという。もとは、原子炉を冷却するために注いだ水が汚染されて漏れ出たものである。注水の前に漏水対策を講じていたら…。東電の、ということは政府の、不手際をここで責め立てても事態は改善しないとはいえ、ともに高度な専門家を擁する組織である。事故は日を追って人災の様相を濃くしている◆エビス顔の神様よりもいまは、憤怒の形相も険しい不動明王がその海には似合う。

2011年4月6日01時23分  読売新聞)

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