HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39191 Content-Type: text/html ETag: "121a51-128a-11d64640" Expires: Sun, 03 Apr 2011 03:22:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 03 Apr 2011 03:22:17 GMT Connection: close 4月3日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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4月3日付 編集手帳

 芥川賞作家で読売新聞の先輩記者でもあった日野啓三さんは、大病の際に薬の作用で異様な幻覚を見た。さすが小説家はそんな体験も冷静に味わって「東京タワーが救いだった」と題した短編を書いている◆病室から見える景色が奇妙に変化(へんげ)する中で、東京タワーだけは不変と確信でき、意識をつなぎ留めてくれたそうだ。そのタワーが曲がるとは――亡き日野さんも、今回の巨大地震の(すさ)まじさには驚いているだろう◆震災発生の日はむしろ、東京スカイツリーの建設現場は大丈夫か、と心配した人が多かったかもしれない。なにしろ地上から500メートル付近にクレーンを据え、工事が進行中である。あれほどの揺れで被害がなかったのは技術の成果ではあろうが、肝を冷やした◆記事は目立たなかったものの、スカイツリーは着々と成長を続け、震災の1週間後に頂点の634メートルに到達したという。頼もしいことだ。被災地で「ボクたちがいるよ!」と大人を励ます、若者の姿が重なって見える◆もちろん東京タワーも遠からず、曲がった先端をぴしっと立て直すはずである。タワー世代も、くじけてはいられない。

2011年4月3日01時31分  読売新聞)

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