HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 01 Apr 2011 02:11:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:双葉町の苦難 絆強め再起支えたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

双葉町の苦難 絆強め再起支えたい

2011年4月1日

 福島第一原発の放射能から逃れ、埼玉県内に役場ごと避難した福島県双葉町の町民たち。帰郷の見通しすら立たない心情を思うと切ない。受け入れた地元は絆を強め、再起への道のりを支えたい。

 ほとんど着の身着のままで故郷を逃げ出してから三度目の引っ越しとなった。千三百人余りの町民たちが、使用期限の迫ったさいたま市のさいたまスーパーアリーナを出て、埼玉県加須市に残る廃校の旧県立騎西高校に入った。

 高齢者や子どもも大勢いる。みんな心身共に疲れ切っている。原発事故の先行きは見えず、避難生活は長期化しそうな雲行きだ。とにかく腰を落ち着けて生活のリズムを取り戻すことが先決だろう。地元はそんな環境づくりを心掛けたい。

 双葉町は原子炉二基を抱え、避難指示が出ている。町民たちはまず福島県川俣町に避難した。それでも、放射能の広がりを不安がる声が収まらず、井戸川克隆町長が埼玉県入りを決めたという。

 人口は約六千九百人。行動を共にしている町民たちはまだほんのひと握りだ。「分散している町民を早く一カ所に集めたい」。井戸川町長の言葉からは、町民たちの団結力で困難を乗り越えたいとの思いが伝わる。尊重したい。

 新学期を目前に小中学生の転入手続きがすぐに始まったが、さまざまな問題が山積みだ。住宅を見つけたい人や仕事に就きたい人は多いはずだ。子育てに追われたり、治療や介護を求めたりする人もいるだろう。

 突如として新しい町が現れたのだ。加須市は双葉町支援対策本部を設けて対応しているが、きりきり舞いにならないか心配だ。

 埼玉県内のすべての自治体が協力すべきではないか。例えば資金を出し合ったり、職員を派遣し合ったりしたい。自治体をリードしたり、国や福島県との交渉窓口になったりするような役目が県にはあると考える。

 いつ事態が収束するのか。故郷に戻ることができるのか。町民たちは将来への不安でいっぱいだろう。福島第一原発は廃炉になるとの見方も出てきた。

 福島県内の原発でつくられた電気がこれまで首都圏の企業活動や住民の暮らしを潤してきた。その原発で大事故が起き、町民たちは右往左往し、避難生活を余儀なくされているのだ。

 せめて双葉町が再出発できるまで支え抜くことは、首都圏の責務だし、恩返しでもある。

 

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