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3月29日付 編集手帳

 昨年90歳で亡くなった歌人、竹山広さんに一首がある。〈歳月を数ふるにわれら戦ひに敗れたる日をはじまりとせり〉。日本人は「戦後×年」という数え方で歳月の里程標を刻んできた◆3・11を境に「戦後」は終わり、「災後」がはじまる――政治学者の御厨貴(みくりやたかし)さんが本紙に寄せた文章にそうある。政治の姿も、経済の仕組みも、暮らしも一変せざるを得ない、との指摘には多くの人がうなずくだろう◆原発危機が終息に向かうかどうかは予断を許さず、1万人を超す不明者の安否も分かっていない。厳密には「災後」の手前、「災中」にある◆原発の事故現場では、いまこの瞬間も被曝(ひばく)の危険と隣り合わせで、放射能の汚染水と闘う作業員がいる。母親(81)が津波にさらわれて行方不明のまま、別の被災地で捜索活動に従事する自衛隊の1等陸曹(49)は本紙に語っている。肉親を案じるつらさを痛感しているので、「あと少し頑張れば、もう少し下まで掘れば見つかるんじゃないか。そう思うと手が止まらない」と◆あなた方がいるから「災中」に耐えられる。いまだ明日の見えない今日を、何とか生きていける。

2011年3月29日01時30分  読売新聞)

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