HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 28 Mar 2011 22:09:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<人間ならば誰にでも現実のすべてが見えるわけではない。多く…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年3月28日

 <人間ならば誰にでも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない>。以前、古代ローマの政治家ユリウス・カエサルのこの言葉を紹介した。知りたくない現実から目を背けたくなるのが人間の性(さが)なのか▼「直ちに人体には影響はありません」。被災した福島第一原発の事故の関連で、枝野幸男官房長官の発言を何度となく耳にしてきた。これ以上、悪い事態になってほしくない。そんな心理が働くほど、政府を信じたいという気持ちが強くなるのかもしれない▼楽観したい気持ちに冷水を浴びせるような放射性物質の数値が連日、発表されている。きのうも2号機のタービン建屋にたまっていた水から、極めて高い数値が検出され、復旧作業を阻んだ▼原子炉から大量の放射性物質が漏れ出した可能性もあるという。原子炉が安全な状態になるまでどれだけの時間を要するのか。まったく予測がつかない▼復旧が長引くほど汚染は広がり、すでに風評被害を受けている福島県の農家への影響は甚大になるだろう。農作業の開始時期が迫る中、福島県はすべての農家に田植えや種まきを延期するよう通知した。春を待ちわびた農家の人たちの失意を思うと声もない▼見たくない現実がある。それでも直視する勇気を持たなくてはならない。私たちはいま、そんな正念場を迎えている。

 

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