HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 27 Mar 2011 21:11:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:旧ソ連のシベリアなどに抑留された軍人らでつくる全国抑留者補…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年3月27日

 旧ソ連のシベリアなどに抑留された軍人らでつくる全国抑留者補償協議会が五月に解散することになった。平均年齢が八十八歳になり、国が元抑留者に最高で百五十万円の特別給付金を支払う特措法が昨年、成立したことを節目に、三十二年間の幕を閉じる▼極寒、飢え、重労働の三重苦に耐えた元抑留者が異口同音に口にしたのは、亡くなった仲間の遺体が、ごみのように扱われたという無念さだ。話を聞きながら、戦争があった特別な時代の出来事だと思っていた。今回の大津波が起きるまでは…▼東日本大震災の発生から二週間が過ぎても、行方不明者は一万六千人を超えている。阪神大震災の不明者が発生から十二日目で二十六人だったことを考えると、いま起きている事態は想像を絶する災害であることが分かる▼津波で浸水した被災地では、全国から集められたポンプ車が排水しながら遺体の収容作業を進めているが、捜索に入れない地域もある。さらに、予断を許さない原発事故が捜索を阻む▼避難指示や屋内退避の対象になった福島第一原発から三十キロ圏内でも、想像したくないが、多くの犠牲者の遺体が発見されないままの状態にあるはずだ▼広島と長崎の原爆、東京や名古屋など都市の無差別空襲の犠牲者の遺体に尊厳などなかった。同じことが起きている。私たちが生きているのは「戦時中」である。

 

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