HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39506 Content-Type: text/html ETag: "b235c-143f-337a29c0" Expires: Sun, 27 Mar 2011 00:22:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 27 Mar 2011 00:22:15 GMT Connection: close 3月27日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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3月27日付 編集手帳

 〈帰り来てうれしと思ふ我家(わがいえ)吾妹(わぎも)吾児(あこ)も皆(つつが)なし〉。88年前の関東大震災の後、歌人の花田()()()が「地震にあひて」と題し、小紙にそんな歌を寄せている◆日本中の人が、家族や家を失った何十万人という被災者の悲痛を(おも)いつつ、毎日、我が家に帰り着くたびに親や子、夫や妻の無事を確かめ、恙なきことの幸せをかみしめているだろう。「日常」の大切さを実感する◆職場の傍らで積まれたままになっている、この約半月の新聞の、一番下にあった紙面を引き抜いてみた。“あの日”の朝刊、一面トップは現職の東京都知事が出馬表明するという記事であった◆その隣には沖縄県民を誹謗(ひぼう)する発言をした米高官が更迭された、と報じられている。主婦の年金問題や、子ども手当をめぐって紛糾する国会の記事も大きい◆もちろんどれも重大な出来事なのだが、ニュースの背後に宿る日常感のようなものが妙に懐かしい。八方ふさがりだったはずの日々も(いと)おしく、解決困難と感じていた数々の問題が、今は活路を見いだせそうに思える。この災厄に立ち向かいつつ、早く、しっかりと日常に戻っていきたい。

2011年3月27日01時28分  読売新聞)

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