HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 26 Mar 2011 22:12:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:津波・地震 他の原発は大丈夫か:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

津波・地震 他の原発は大丈夫か

2011年3月26日

 原子力発電所の運転には、大量の水が欠かせない。だから、日本の原発はすべて海辺に立っている。太平洋側でも、日本海側でも、重大な津波被害を受ける恐れが、ゼロではないということだ。

 静岡県御前崎市の遠州灘に面した浜岡原発五基(二基は運転終了)は、東海地震で想定される震源域の中にある。それだけに阪神大震災のあと、国の基準を上回る耐震補強が施され、福島原発を襲った地震の二倍近い揺れにも、耐えられる。

 津波の場合、一八五四年の安政東海地震(M8・4)を念頭に、八メートル級を想定し、対策を講じてきた。しかし、福島第一原発を襲った津波は十四メートルに達している。

 海岸沿いに備えた高さ十〜十五メートルの防波砂丘の内側に、今後二、三年で防波壁を新設し、電源が保たれるよう、敷地内の高台に非常用ディーゼル発電機や故障時の修理に必要な備品の倉庫を増設する計画だ。

 北陸では、石川県志賀町の能登半島西岸に、北陸電力の志賀原発が二基、福井県の若狭湾を取り囲むように、関西電力美浜、大飯、高浜の計十一基と、日本原子力発電の敦賀原発が二基、さらに、高速増殖炉「もんじゅ」が、ひしめき合っている。

 日本海側の若狭湾では、津波に対する恐怖が、少なくともこれまでは薄かった。大津波を引き起こす海溝型プレートの近くにないからだ。関電が〇・七四〜一・八六メートル、日本原電は二・八メートルの津波を想定してきたが、再考を迫られよう。志賀原発は五メートル、松江市の中国電力島根原発では、五・七メートルの想定だ。

 福島第一原発の事故で、日本中の人々が信じられない光景を見た。今この瞬間も飛散する目に見えない放射能の恐怖も、味わい続けている。この不信と恐怖を完全に拭い去るのは恐らく不可能だ。

 より高度な物理的対策を速やかに講じるのはもちろんだ。しかし、技術的な安全性を専門家でもない住民に一方的に説くような手法を今度こそ改めたらどうか。

 今、どうすれば安心してもらえるのかを住民側からよく聞きながら、実現させていくべきだ。

 電力会社は、原発の必要性、安全性だけでなく、その現状を“素人”にも分かる言葉で説明し、求められた情報は周辺住民や電力消費者に必ず開示してほしい。

 信頼のないところに、安心などありえない。

 

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