HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 26 Mar 2011 21:11:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:作業員被ばく 安全確保に万全を期せ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

作業員被ばく 安全確保に万全を期せ

2011年3月26日

 東京電力福島第一原発3号機で冷却作業中の協力会社作業員が被ばくしたのは、東京電力による放射線の安全管理に緩みがあったからだ。危険を顧みず働く作業員の安全確保に万全を期すべきだ。

 被ばくした作業員三人のうち、放射性物質が両足の皮膚に付着した二人の被ばくは、一七三〜一八〇ミリシーベルトで、今回の事故に限り引き上げられた被ばく限度の二五〇ミリシーベルトを下回った。だが、短時間に被ばくしているため皮膚に与える影響は大きく「ベータ線熱傷」の可能性が出ている。

 事故は原子炉建屋に隣接するタービン建屋の地下一階で、深さ十五センチの水たまりにくるぶしまでつかったまま、原子炉に真水を注入するための電源ケーブルの敷設中に起きた。長靴を履いていなかった短靴の二人の靴の中に汚染された水が入り、被ばくしたらしい。

汚染水の放射性物質の濃度は通常の炉内の一万倍に達していた。

 問題は、被ばくに対する東電の危機意識が極めて低いことだ。

 放射線が高い現場には、放射線を測定・管理する「放射線管理員」を同行させなければならないが、東電はこれを無視した。

 さらに現場付近は前日にはなかった水たまりができ、放射線量が上がったが、作業直前の放射線量を測定しないまま作業をさせた。放射性物質の影響は空気中を浮遊しているよりも水に溶けている方が大きい。水があればそれに応じた作業方法を指示すべきだった。

 こうした基本的なことが守られなかったのは、作業員への教育や放射線管理員の現場への配置がなおざりにされてきたためだろう。

 似たようなことは、一九九九年九月に茨城県のウラン燃料加工施設で起きたわが国初の「臨界事故」の際にも見られた。規定の量を大幅に上回るウラン酸化物を硝酸に溶かすと危険であることが末端の作業員に徹底していなかった。

 今回の事故を機会に東電は、3号機以外でも同様の安全軽視の作業を指示していないかどうかをチェックし、二度と起こさない態勢にする必要がある。

 被ばく原因となった放射性物質は、原子炉か使用済み核燃料プールの核燃料が損壊して漏れ出た可能性が指摘されている。1、2、4号機も原子炉の“空だき”や水素爆発などで核燃料が相当損壊しているとみられることから今後の冷却作業には危険が伴う。困難だが、これ以上の被ばく事故を避けながら、遅れることなく着実に実行してもらいたい。

 

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