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3月26日付 編集手帳

 新国劇を創立した剣劇の雄、沢田正二郎の即興詩が残っている。〈()り倒してふと考える/この人に 言い交わした女がありはせぬかと〉。迫真の(すご)みがいまも語り草の殺陣は、役になりきる精進の賜物(たまもの)であったろう◆役者ならぬ身で、誰かになりきっての感情移入が巧みであるはずもない。それでもあの地震以降、被災者になったつもりでニュースを聴くことにしている◆現在は屋内退避を指示されている福島第一原発から20〜30キロ圏内の住民に、政府はきのう、「自主避難」を促した。そこに住む“私”は、さて、どうしよう◆放射線量の問題ではなく、生活物資が圏外から届きにくくなったための措置だと、官房長官は説明する。本当かしら? 放射能の専門家集団で、生活物資には門外漢であるはずの原子力安全委員会も「自主避難」を唱えているではないか。避難せよ、と指示するなら分かる。放射能に関する情報は政府がすべて握っているのに、「自主的に」(=あなたの意思と判断で)と言われても戸惑うばかりだろう◆その言葉が住民の耳にどう響くか――「口にしてふと考える」姿勢が欠けている。

2011年3月26日01時13分  読売新聞)

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