HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 23 Mar 2011 20:11:01 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:リビア空爆 戦闘長期化を懸念する:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

リビア空爆 戦闘長期化を懸念する

2011年3月23日

 世界の耳目が一点に集まる時、往々にして別の国際的大事件が起きる。リビアへの武力介入は、東日本大震災のさなか急展開した。人道目的は理解できるが、戦闘長期化は避けなければならない。 

 米英仏軍が中心となった多国籍軍による空爆は連日継続され、武力介入の主目標の一つである飛行禁止空域実現に向け成果をあげているとされる。

 カダフィ大佐側は、いまだ戦闘継続の強硬姿勢を崩しておらず、事態はなお流動的な局面が続いている。

 チュニジアに始まった中東民主化は、エジプトの独裁政権を崩壊させ、両国に挟まれたリビアに飛び火。カダフィ大佐は、高まる国際圧力を無視し、一般市民へ無慈悲な武力弾圧を続けた。

 すでに二つの戦争を抱え、武力行使に慎重姿勢を示していた米国のゲーツ国防長官に対し、クリントン国務長官ら積極派が国連を舞台に外交攻勢をかけ、安保理の武力行使容認決議採択にこぎ着けたとされる。

 一向にやまない殺戮(さつりく)行為からの「一般市民の保護」のために、発足したばかりの反体制派組織「国民評議会」の要請に応える形で、国連が短時間のうちに国際法上の条件を整えた点については評価できる。

 湾岸戦争以来、国際社会は様々(さまざま)な人道介入に関する試練に直面してきた。コソボ空爆のように明確な安保理決議なしに行われた例もあるが、今回は安保理決議に加え、アラブ連盟、イスラム諸国会議機構の支持も取り付けた。

 しかし、いったん戦闘が始まると、犠牲になるのは常に弱い立場にいる一般市民だ。懸念も多い。

 制空権を確保したあとの展望が見えていない。米国が地上部隊の投入を明確に否定しているほか、アラブ諸国では、バーレーン、サウジアラビアなどが民主化の渦中にあり、一枚岩ではない。

 今後の作戦の指揮権をめぐる有志連合国と北大西洋条約機構(NATO)間の調整も進んでいない。イスラム圏に理解を示すトルコは、急きょ敢行された作戦に懸念を示している。

 カダフィ大佐側は、停戦受諾をめぐり国際社会へ揺さぶりをかけながら武力弾圧を続けている。一般市民を人間の盾に利用している、との情報も伝わる。

 決議は外交努力による紛争解決への取り組みをうたっている。即時停戦実現こそ最優先課題であることを忘れてはならない。

 

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